2012.11.04 紅葉の日塩もみじラインを行く:後編(その1)




前回の続きです〜(´・ω・`)ノ



さて前回は日光側からアプローチして白滝付近で日が暮れてしまった訳だが(笑)、今回は塩原側から同じルートを走ってみることにしたい。筆者は郷土を愛する正しい那須塩原市民(なんだそりゃ)なので、オンシーズンの見どころについては是非とも書かねばならない。(だったらもっと早起きしろよとかいうツッコミは無しでw )

日塩もみじラインは塩原温泉からハンターマウンテンスキー場(略称:ハンタマ)付近までが那須塩原市のエリアになる。本日は昨日省略してしまったこの塩原側と、少々足を延ばして五十里湖〜湯西川ダムまでを走ってみよう。




そんなわけでいつもの如く那須塩原駅から出発してみる。駅前道路の様子はこんな感じで、ちらほらと黄葉は進んできているのだが基本的にはまだ緑色…といった状況である。




市内平野部の代表として黒磯駅前の最低気温の推移(5day-MA)を見てみると、色付きの始まる8℃は下回っているものの5℃のラインを割ったのはほんの昨日、今日…といった状況である。

青木の道の駅:明治の森黒磯〜板室温泉あたりは先週 "黄葉" が始まっているのを確認済みなのだが、赤系統の紅葉は見られなかった。…まあ、データを見る限り理屈どおりに色がついている…と解釈すればよいのだろうか。




付近では、農家の庭先や土手などで柿の木がイイカンジで実を付けている。そういえば柿の紅葉というのはあまり印象に残っていないな…と思って改めて見ると、殆ど赤にも黄にも染まらないうちにパラパラと落ちてしまっている。文献によれば本来赤っぽい色が出るようなのだが、発色が始まる前に葉の寿命が尽きてしまっているような感じだ。




木綿畑(きわたはた)付近まで来て、那須連山をみると…おお上の方は冠雪している。




第二列の大倉山、三倉山、流石山のほうはもうすっかり雪山になっていた。あの山の向こう側=南会津はもうそろそろ冬支度を始める時期になっているらしい(´・ω・`)




■もみじ谷吊り橋〜大網付近




さてあまり雪山で感傷に浸っている訳にもいかないので塩原渓谷に向かってゆるゆると進む。ここは関谷付近である。紅葉はそこそこ色づいてきており、楓の赤色もぼちぼち見え始めている。…でもまだ見頃というには幾分早いだろう。




ちなみにここから塩原温泉街付近までのR400は塩原バレーラインと呼ばれている。文字通り渓谷沿いを縫って走る道である。昭和30年代までは未舗装の隘路であったが、東京オリンピックに合わせて舗装整備され、以後人気の観光路線となった。

渓谷の尽きる直前に塩原ダムがあり、この細長い湖面を突っ切るような形でもみじ谷大吊橋がある。紅葉が進めば美しい水の風景が見られるところだ。




…が、今回は色づきがまだ本格化していないので敢えてスルーして先を急ぐことにする。




気温推移をみると、もみじ谷大吊橋(標高420m)付近は楓の赤色を見るには少々微妙な状況となっている。色付きの良くなると言われる5℃のラインを切らない程度の気温推移が2週間ちかくダラダラと続いている。もうあと1〜2℃冷え込んでくれると随分違ってくると思うのだが…なかなかうまくいかないものだな。




さて大吊橋入り口を過ぎるとすぐに 「がま石トンネル」 が見えてくる。渋滞緩和を目的につくられたトンネルだが、ここは通らずに左側(旧R400)に逸れると渓谷美をよりよく楽しめる。




…が、やはりまだ紅葉には少々早かったようで、木々は青々としている。

仕方がないのでここもスルーして登っていく。




大網付近までくると楓の赤がそれなりに出てきたが…色味はまだ渋い。




やがてそこを過ぎると箒川ダムが見えてくる。




ここは渓谷の写真スポットになっている。…が、やはりまだ幾分渋い色調だな。




谷底には上流から流れてきた落葉の帯がみえる。上流側の色付きに期待して、もう少し登ってみよう。




■福渡




布滝をすぎて福渡に入ったあたりから、赤の純度が高くなってきた。標高は480mあまりで、もみじ谷大吊橋からは実は60m程度しか違わないのだが、どうやらこの付近に色づきの境界条件があるらしい。




塩原視力障害センター(旧・塩原御用邸)の紅葉がなかなかに鮮やかだ。残念ながら近くに適当な駐車スペースがないのでじっくりと見ることはできず、ここは素通り。




福渡温泉神社脇から箒川を渡って対岸に渡った。最近道路整備が進んで今ではR400はこちら側に折れていくルートが正式となっている。もみじライン目当ての観光客が温泉街の中心(妙雲寺門前)に突っ込んで渋滞を引き起こすのを避ける狙いがあってこうなったらしい。




ここは路肩に少々余裕があるのでちょこっとクルマを停めてみた。橋から川を見下ろすと、フライフィッシングに興じている人がみえる。県内の渓流は9月半ばには禁漁になるのが通例なのでちょっと珍しい光景である。…といっても別に彼らはアングラなアングラー(なんだそりゃ)という訳ではない。

実はこの付近では大型のニジマスを放流して正月頃まで釣りができるようになっているのである。キャッチアンドリリースが原則で魚を持ち帰ることはできないようだが、紅葉を見ながら 50〜60cm くらいの型の魚が釣れるので人気があるらしい。



 

■塩原ビジターセンター




橋を渡るとすぐに塩原ビジターセンターがある。隣接する天皇の間記念公園もこの季節の紅葉を見るには良い所なのだが、まだ営業時間前(時計をみると08:20)なので入ることができない。そんなわけでビジターセンターと隣接する簡保の宿の付近を見てみることにする。




ここは元は皇室の御用林だったところで、色づきのよい楓が多い。




…で、これがまた素晴らしい色具合のなのであるヽ(´∀`)ノ




筆者は郵便局の回し者ではないけれど、この時期、これを目当てに簡保の宿に宿泊するというのは遠方からの旅行者にとっては大いに 「あり」 だと思う。筆者は一度だけ泊まったことがあるのだが、夜などはとても静かで遠くに川のせせらぎが聞こえ、歩いて散策できる湯歩道も整備され、無料の足湯などもあってお勧めである。




こちらは葉緑素が抜けて黄色くなった楓。枝先をみるとこれから赤く染まるところらしい。赤色の素となる糖分(光合成で出来る)が葉内で蓄積する状況は木によって多少の差があり、その早い遅いはその木の個性によって決まっている。

この↑木は毎年いったん全体が鮮やかな黄色に染まってから赤が立ち上がってくる筆者のお気に入りの一本なのだが、その鮮やかさとは(どこかで書いたような気もするけれど)葉緑素の分解(緑色の減退)と赤色物質の合成、蓄積のタイムラグによってもたらされる。さっさと緑成分が減少すれば葉に元から含まれる黄色成分が目立って鮮やかな "黄葉" となり、一呼吸おいて赤色が立ち上がってくるとオレンジ色を経て真っ赤な "紅葉" へと切り替わる。




人間にとっては、このタイムラグが大きいほど特定の色成分が明瞭に見えて好ましいということになる。植物にしてみれば落葉の準備として葉の根元で起こる栄養経路の遮断が気温に換算してコンマ何℃分か過敏か鈍感か…というだけの話なのだが、観光産業ではそれが金額に換算されて評価され、行楽客もそれを求めて出かけて行く。

そしてその "個性" も、鮮やかな発色を得るには条件が必要で、多くの予測式(気象庁意外に民間気象会社でも独自の式を使っている)では気温を主なパラメータにしている。今回筆者が主にチェックしているのは最低気温との因果関係である。




さてその気温データはというと、標高のほとんど変わらない妙雲寺付近のデータでみると、ちょうど5℃のラインを割り込んで3〜4日といったところのようだ。前回(もみじラインの竜王峡側)の二枚沢林道入り口がちょうど同じような気温条件で、やはり色づきのよくなる境界付近にあった。やはりこのくらいのところが楓系の紅葉の見頃の始まりと思ってよさそうな気がする。




楓以外では、ヤマザクラらしい葉が鮮やかな赤色を呈し始めていた。公園などに植えられているソメイヨシノと違って、ヤマザクラの紅葉は比較的鮮やかである。同じバラ科の植物でもカメラ写りは相当に違ってくる。




…といっても、やはり塩原の紅葉の王者はやはり楓ということになるのだろうな。




さて簡保の宿の敷地の西端は、鹿股川の崖になっている。




ここも切り立った断崖に紅葉の木々があってイイカンジであった。露店風呂に浸かりながらこういう景色を眺めたら、さぞかし風流だろうなぁ。


<つづく>