2016.10.22 紅葉の田代山林道を行く(その1)




山上ドライブをして参りました(´・ω・`)ノ



さて今回は秘境:田代山林道の紅葉レポートをしてみたい。ここは栃木県の日光市:湯西川、土呂部と福島県の南会津町:舘岩を結ぶ林道で、那須や塩原といった混雑の多いメジャー観光地を離れて人のあまりいない深山の紅葉が楽しめるところだ。

この時期の紅葉といえば日塩もみじラインが有名どころで、自家用車のほか旅行会社のチャーターした観光バスで猛烈な渋滞になったりするものだが、田代山林道は狭いダートが続くところでバスは入り込めない。一般の自家用車も車高の低いクルマは入りにくく、基本的には四駆とバイクの世界である。




このルートのどのへんが秘境かというと、標高1400〜1600mの尾根筋の頂上部分を縫うように道が通っていて爽快感があることと、普段は通行止めになっていて紅葉の時期だけ一時的にゲートが開くという時間的希少性による。沿線には民家や商業施設は無く、野暮な高圧鉄塔等もまったくない。

類似の山岳道路としては那須塩原市域でかつて  "塩那スカイライン" が着工され整備が進んでいたけれども、完成に至らないうちに廃道になってしまった。もし開通していたら、きっとここと似たような雰囲気の道路になっていたのではないだろうか。

今回は、そのあたりの "IF" 的な気分も幾分含みながら、ゆるゆると走ってみたい。




■ まずは塩原温泉を経由してGO!




ではさっそく出発してみよう。雲が多くてあまりスッキリしていないけれども、今日を逃すとたぶん紅葉の見ごろとしてはピークを逃してしまうので、覚悟を決めて走り出す。

写真は那須塩原駅の駅前通り(r53)である。まだ楓の見ごろには早いものの、黄葉系の街路樹は色づいており、人によってはこのくらいでも 「秋だねぇ」 と満足するかもしれない。しかし写真に撮るならもう少し鮮やかな木々を狙いたいところだ。




先は長いので途中経過はさらりと記述するに留めたい。まずは塩原渓谷の入り口にある関谷の付近である。

※前振りはいいから肝心の部分を紹介しろ、とお急ぎの方はこちらへ(^^;)




楓の並木は、若干色づきは始まっているもののまだ本格的な立ち上がりはない。




近傍のもみじ谷大橋を紅葉チェッカーでみると、最低気温が5℃未満の累積日数が3日、3℃未満は0日という状態であった。これだと "黄葉" はぼちぼち進行するものの、"紅葉" はまだ立ち上がりのほんの走りといったところになる。ということで大吊り橋はスルーしていく。




■ 塩原温泉ビジターセンター




やがて塩原温泉ビジターセンターに到達。




ここは塩原温泉郷で最もにぎやかな福渡〜塩釜〜畑下〜門前〜古町の各温泉集落の連続体のなかにある。本来の主要幹線=R400はもともと各温泉街を箒川左岸側で縦貫していたのだが、今ではバイパス道のほうがR400となっており、そのバイパス路側の主要な休憩施設がビジターセンターになる。温泉街には駐車場が少ないので、ここは休憩スペースとしては貴重だ。




紅葉はまだ本格的には立ち上がっておらず、色づきの早い個体が赤く染まってきたという程度の状態だ。しかし写真映えのする木はいくらかあるので撮ってみよう。これはイロハモミジかヤマモミジの仲間らしい。




チェッカーでみる塩原温泉の気温推移はこんな感じで、もみじ谷よりはいくぶん冷え込みが来ている。赤色の立ち上がる最低気温5℃未満の累積日数は4日、4℃未満が同3日。3℃未満に下がった日は残念ながらまだない。




しかし部分的とはいえこのくらい色の乗った楓が見られれば、そろそろ見頃の始まり宣言をしてもよいのかもしれない。駐車場の脇にポヤっと立っている一本だが、なかなかどうして美人度の高いご婦人である。




塩原の紅葉は葉がきれいで上品なのが特徴だ。

先日見に行った那須:姥ヶ平は吹きさらしの斜面で、風で落とされた葉が多く、ボロボロになりながらなんとか持ちこたえた・・・という野武士のような雰囲気が漂っていた。それに対して塩原渓谷は、複雑に入り組んだ渓谷の地形と防風林の役目を果たす高木が混在しているお蔭で、台風の多い年でも葉が痛みにくいらしい。



同じような文脈で葉を温存できたらしい楓が、ビジターセンターに隣接する鹿又川の底でいい色を出していた。こういう事例を見ると、台風10連発でボコボコにされたからといって、単純に "今年はアタリだ"、"いやハズレだ" ・・・とは決めつけられないことがわかる。

思うにどんな気候の年でも見どころの場所というのはあり、原理原則さえわかっていればそれを探し出すことができる。そういうことなんだな(´・ω・`)



 

■ 日光市側に入る




さて塩原温泉郷を過ぎるとやがて尾頭トンネルを経て男鹿川流域=日光市側に抜ける。




こちら側は塩原よりも若干冷え込みのある地域だ。紅葉の木々もぼちぼちいい感じになってくる。




このあたり(男鹿川水系)はヤマメやイワナのいい釣り場になっている。9月で禁漁になってしまうので紅葉を眺めながらの釣行というのはできないが、そのかわりトロ場の砂礫層のあたりで目を凝らすと産卵している渓流魚の姿をみることができる。




やがて五十里湖に至り、湖畔にある道の駅:湯西川で小休止。

ここは野岩鉄道(会津鬼怒川線)の湯西川駅と合体して複合ドライブインのような施設になっている。温泉が併設されていて、水陸両用バスによるダム湖ツアーなど見るべきところは多い。




・・・が、筆者は今回はダム湖はスルーしていくことに決めている。足湯をちょこっと堪能したら、先を急ぐことにしよう。道はまだまだ遠い。


<つづく>