購入記(X-TRAIL NT32)


2015年8月。それまで12年間、17万kmを乗ってきた X-Trail T30(後期) がヘタリ初めてきた。走らせるだけならまだ行けそうなのだが、車検費用も高止まり気味でバカにならないし塗装もハゲ始めているので 「これは買い替えを促す神の啓示かな(笑)」 と思い始めていた。

T30は四駆としては安価な割り切ったつくりで、それでも砂浜や雪道でスタックすることもなく、なかなか使い勝手のよいクルマだった。乗り換えるにしても山道をそこそこ安心して走破出来る車種がいい。さて、そうすると何が良いだろう。




■ 当初はスバル・フォレスターが狙い目だった…のだがっ!(笑)




あまり引っ張ってもアレなのでズバっと書いてしまうけれど、実のところ筆者の周辺にはフォレスター乗りが幾人かいて 「あれはいいものだ」 と悪の道(笑)に引き込もうとしていた。その悪の道は決して居心地の悪いものではなく、ネットでの評判もチェックしつつ筆者は9割くらいはフォレスターにするつもりでいた。この時点でチェックしていた車種はざっと以下の通り。(コメントは思い切り主観が入っているので該当する車種のオーナー氏はあまり気にしないで頂きたい ^^;)

① スズキ:エスクード

10年間モデルチェンジ無しという漢の仕様を貫いてきたエスクードだったが、2015年10月についに新型が登場。ラダーフレームだしボクシーだし、野山を走るには良いチョイスなのだけれど、1.6L 117psはちょっと非力っぽいのと、 国内生産ではなく月に100台くらいしか輸入されない補給線の細さがネックとなって見送りを決めた。修理の際のパーツ取り寄せが地球の裏側から2ヵ月待ちです~なんて言われたら洒落にならないからだ。追加装備とボディ色のバリエーションが悪魔的に極貧なのもちょっと残念だったかな…(^^;)

② マツダ:CX-5

2015年1月にMC。お世辞抜きにいいクルマだと思う。見送りの理由はマツダのブランド力が筆者の居住地では微妙にマイナーなことと、主要グレードがディーゼルということだった。ディーゼルの魅力のひとつに低速でのトルクの太さがあるけれど、山国では特に冬季、ディーゼルは燃料が凍ってしまって使い勝手が悪いのである。 軽油には5つものグレードがあって雪国では寒冷地用を給油しなければならない。一山越えると雪国という筆者宅の立地では、山のこちら側とあちら側でいちいち燃料の質を気にしなければならないディーゼルはあまりにも面倒なのであった…

③ トヨタ:ハリアー

2015年6月にMC(というか改良?)。エクストレイルとよく比較されているということで一応チェックしてみた。 性能的にはこれといった不満はなく、いいクルマだと思う。天下のトヨタであるから万一の場合でもパーツ供給に不安はなく、サービス体制は万全。ただ藪の中に突っ込んでいくような乗り方をするクルマじゃなさそうで、筆者の趣味とは微妙にずれているところがあるので候補落ち。

④ ホンダ:ヴェゼル

ダークホースのように出現して最近売れまくっているSUV。カタログを見ただけで実物は未見。 ホンダ車は経験上修理や整備に出すと戻ってくるまでが長く、あまり良い思い出がないので 「ふーん」 という以上のチェックはしなかった。…でも売れている=正義を考えると、もうちょっと真面目に検討しても良かったかも。

⑤ スバル:フォレスター

2015年11月MC。筆者の用途からするとちょうどエクストレイルの代替になるスペックで、足回りの良さは折り紙つき。なにより筆者の周辺の強力なスバリストの悪の誘惑が激しく(笑)、購入検討し始めた時期に 「間もなくMC」 の情報があったので、とりあえずそれを見定めてからにしよう…と、しばらく様子を見ていた。 2015年10月頃には買い替え候補の最有力選手だった。



…で、どうしてその最有力選手が採用見送りになったかというと、ディーラーにさっぱりやる気が感じられず、 いざというときに頼りになるとは微塵も思えなかったからなのであった(^^;)。 「もうすぐD型(MC)が出るというけどどうなのよ」 と聞いても 「カタログありません」 「ウェブサイトはリンク切れです」 「開示できる内容ありません」 といった感じで、真面目に検討しようとするほどに購買意欲を削られて 「…もういいや」 となってしまった(笑)。 いや真面目な話、これで愛想を尽かさないスバリストの方々の博愛と献身は凄いと思う。



 

■ そして、エクストレイルに還る


そしてぐるりと一巡した果てに、3代目エクストレイルがここで初めて選択肢に加わった。

以前のボクシーなデザインが気に入っていた筆者は、都会顔になってしまった新型は正直なところ "軟弱な奴" という印象しか持っていなかった。しかし考えてみれば有力候補であったフォレスターもボクシーではなかった。…ならばそう拘ることもあるまい、とそこでいったん思考をリセット。最近は世界的にこういうクロスオーバー的なクルマが売れていて、どうやら 「時代はこっち方向」 ということのようだし、これはこれで仕方がないのかもしれない。




そうこうしているうちに、愛車の外装のハゲ具合が進行し始めた。人の頭部と一緒でハゲは無慈悲に加速する。塗装面の一番外側のクリア層が浮き上がって下地の色層にヒビが入り始めると、あれよあれよと言う間にペリペリと逝きはじめた。これはもう 「いい加減そろろろ決めろよ」 という神の啓示に違いない。気が付けばもう12月だった。

とにかく現有車の老衰が加速し始めた以上、あまり時間はかけられない。そこで市内のニッサン系のディーラーを巡回し、改めて情報収集してみた。クルマのスペック的なことは評論家のセイセイ達が既にいろいろ書いているのでそっちにお任せ(^^;)するけれども、四駆の性能はT30で十分信頼できる水準にあると思っていたので特に不満はなく、最低地上高も205mmあるので必要十分。燃費はそもそも気にしていないのだが(ぉぃ)、カタログスペック16km、実走行時のユーザーインプレッションを見ると12~13kmくらいは出ているようなのでまあこんなものだろう。

…というと、筆者の要求スペックというのは案外シンプルだったのだな、と改めて認識してしまった。あとは気分的に何をおまけとして付けようかというくらいだ。



 

■ 結局、ブラックエクストリーマーX!




外観は、これまた気分的な問題で多少なりとも四駆テイストが欲しかったのでオーテック仕様のエクストリーマーにすることにした。シルバーとブラックとどっちにするか少々悩ましいのだけれど、あまりキンキラ系なのもアレな気がしてメッキが渋めのブラックエクストリーマーを選択。色はカタログ写真のダークグリーンぽいテイストが気に入って、チタニウムカーキにした。この色は特別塗装色で \43200 ほど割高なのだがせっかくの新車なので伊達投資である♪

※実はこのカタログは大嘘で現物はかなり違っていたのだが…まあそこは後ほど(^^;)

そんな訳で、冬のイベントシーズンには間に合わせたいので1月中の納車を確約してくれたディーラーで契約。ブラックエクストリーマーはニッサンの九州工場でいったんノーマル仕様の完成車をつくり、それをオーテック(ニッサン子会社のカスタムメーカー)に持ち込んで改装するという手順を踏むので、ノーマル車より2週間ばかり納期が延びる。さらに特別塗装色は在庫車ではなく新規ライン投入となり、1月中納車だと年末年始を挟んで実質1ヵ月ですっぴんNAが出荷されなければならない。これは結構な煽り日程になる筈だが、そのへんはディーラーが頑張ってくれるそうなので期待しよう。

値引きは正直なところそれほどゴリゴリ交渉した訳ではないけれど、ネットの納車スレを見る限りでは世間の水準並みのように思う。具体的な数字は…まあ営業さんへの仁義もあるので書くのは控えておきたい(^^;)

…そんな訳で、こいつが筆者の新しい旅の相棒に決まったのである。