■2005.11.13 塩原温泉郷:竜化の滝(その3)







さらに登る。箒川の本流は渓谷としては堂々たる水量を湛えているけれども、この沢は本流の1/10以下くらいの水の流れでしかない。そもそも沢の長さが2kmに満たない程度であるので "源流感" が強く感じられる。そんな細い流れであるのに刻まれた渓谷はきわめて深い。どれだけの時間をかけて浸食が進んだのだろう。




さて遊歩道入口からおよそ600m…そろそろ、滝が見えてくるころだ。




ようやく到着。歩道の一番奥まったところに、滝はあった。高さ60m、長さ130mに渡って三段に落ちる、塩原で最も規模の大きな滝である。

ちょうど歩道側から90度曲がった方向に向いているので、本当に歩道の一番奥まで行かないと見ることは出来ない。滝つぼは狭く、しぶきが歩道(というか簡易シェルターがある)にまで飛んでくる。それにしても、こんな沢水程度の水量でよくもこれだけの渓谷を掘り込んだものだ。




後ろは崖で下がれないので、広角レンズでちょっと引き気味に写してみた。周辺の紅葉はこんな感じになっている。縦長の滝を縦構図でいっぱいに写すと、この紅葉の色が入りにくいのはちょっと悩ましいかな(^^;) しかしまあ、本日の最大目標はこれでクリアだ。




この滝は、かつて塩原を訪れた有名人もほぼ間違いなく訪れたという定番の名所であった。案内板(上の写真とは別にもう1枚ある)には与謝野晶子の詠んだ歌が書いてあったのでちょっと紹介しておきたい。

龍化瀧、二十五丈を若葉する
毛(ブナ)のかこめりうえは岩山

万葉調の直球ストレートな歌である。歌の内容もさることながら、昭和初期の頃に女性がこんなところにまで入り込んで来たことのほうに驚いてしまうな。



 

■ 古町へ




竜化の滝を堪能した後は、ふたたびR400に戻り、温泉街を目指してみた。しかし道路はすっかり渋滞しており、温泉街に到達したところで駐車するところはなさそうだった。これは適当なところで引き返したほうがよさそうかもしれないな。




そこで、長居はせずにピンポイント攻略の一点決めでフィニッシュすることとした。

行先は、NHKニュースで放送していたレストラン 「ランプ」 前の紅葉ポイントである。クルマはぎっしりだったが運良く1台が出て行ったので、駐車場に滑り込むことが出来た。




ここは塩原温泉街の中でも最も鮮やかな紅葉が見られる一角である。吊り橋が一本あり、向こう側は門前といって妙雲寺の境内にあたる。川のこちら側は古町といって現在の温泉街の原型が最初にできたところだ。

ここに吊り橋が架かったのは最近のことで、お蔭で散策が非常にしやすくなった。ワイヤーアンカーの専有面積を押さえた片側一柱式で、山間の狭いところにも設置しやすいタイプである。




橋を渡ってすぐ下流側が、ニュースで映像が流れていた場所である。不覚にもアンダー補正気味で撮ってしまったのでかなりドス黒い写りになってしまっているけれども、実際の色調は眼の覚めるような赤である。




橋を渡ると露天風呂(写真奥)があって、よくテレビの旅行番組で女性リポーターが入浴しながら 「いい景色ねぇ〜」 などとやっているのだが、本日は営業していなかった。紅葉のシーズンには人がゾロゾロと風呂付近まで入ってくるのでさすがに営業自粛したのだろうか…(^^;)




さらにひとつ奥には休憩所がある。筆者もここで小休止。




対岸側から見事な色彩で見える楓は、休憩所の上を覆うように枝葉を伸ばしている。向こう側からも綺麗に見えるのだが、こちら側からだと日の光を透過してより美しく見える。




逆光というのは一般に写真撮影では難しい条件と言われるけれども、紅葉の撮影にあたってはぜひとも活用したい。




なにしろ条件が合うと素晴らしい発色が得られるのである。これはそんな1枚。筆者の本日最高のHIT作となった。もう、赤、赤、赤、赤、赤、赤。やはり秋はこうでなくては・・・! ヽ(´ー`)ノ




…ということで、午後になってますます渋滞が激しくなってきたので撤退♪ 行先を絞った半日ドライブではあったけれども、まずまず良い紅葉日和であった。

<完>