2008.01.01 那須温泉神社




いわゆるひとつの初詣というやつです ヽ(´ー`)ノ




初詣の行先をどこにするかと言うのは年初における最初の決断だったりもするのだが、今年も那須温泉神社に行くことにした。やはり雪のあるところのほうが絵的に良いと思うからだ。

慌しかった2007年もあと1時間少々…というタイミングで家を出て那須街道を北上する。紅白歌合戦は曲目リストをみただけで完全スルーだし、思えば他局も含めて結局TVそのものをほとんど見ない年末だったな。無くても別に困らないというのは新たな発見かもしれないが…(^^;)

それはともかく、年末になってようやく本格的な寒気団がやってきた。今夜は山沿いの道も雪化粧だ。ノーマルタイヤで登ってきたらしいクルマが登坂をあきらめているのを横目で眺めつつ、湯元を目指す。こういうときには四駆は頼りになる。がんばれ4年目のエクストレイル ヽ(´ー`)ノ




さてまもなく湯元温泉街に到着。ここが那須温泉神社の一の鳥居である。

相変わらず静かな境内だ。




何度見ても、この俗世間とは隔絶された雰囲気はいい。




長らく人間をやっていると、ドロドロとした余計なものがたくさんまとわりついてくる。古くから "祓い" と呼ばれてきた行為は、ときどきこういうところに来ることでそれを "そぎ落とす" ものだ。呪術的な意味を差し引いても、気分のリセットができるというのは現代にあっても何かしらの効能が期待できるかもしれない。




雪の参道を静かに登っていく。見れば先客が一人、二人…。

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やがて拝殿に到着。いつもながら、有名な神社である割にささやかな行列だな(^^;) ・・・といっても、まだ年が明けるまで30分ほどある。しばし火に当たって、暖をとりながら待つとしよう。




パチパチと燃える篝火(かがりび)。都市部の神社ではこれが裸電球になって昭和レトロな雰囲気だったりするのだが、やはりこういうリアルな炎のほうが趣がある。




那須温泉神社の創建は古い。舒明天皇(629〜641年)の頃というから大化改新より前であり、1代前の推古天皇の時代は聖徳太子(574〜622年)の時代でもある。

聖徳太子は仏教をはじめて日本に受け入れたことで知られるが、その伝播にはタイムラグがあった。当時の仏教圏は当然のことながら畿内周辺にとどまっており、下野国に仏教勢力が及ぶのは741年、聖武天皇による下野国分寺を待たねばならない。

そういう背景から那須温泉神社の創建時期を考えると、仏教の及ぶ以前の神道の空気とでもいうべきものを受け継いでいることに気づく。630年代の那須は大和朝廷の勢力圏のほぼ最北限であり、その支配権もどの程度確立したものであったかは定かではない。日本古来の、おそらくは蝦夷にも通じる共通の自然神信仰の基盤のうえに、この神社は成立しているのである。


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神社の縁起は、狩ノ三郎行広なる者が狩りで白鹿を射たことに由来する。手負いの鹿を追って深山に分け入ったところ山中に湧く温泉を発見し、これを神の賜物と崇敬しそこに神社を建立した。このとき発見された温泉が、現在の鹿の湯である。

延喜式には平安時代中期(10世紀初頭)に存在した約2800の神社が記載されているが、そのうち温泉神社はわずか十社という。そのうちのひとつに数えられているということは、那須温泉神社の知名度が当時相当に高かったことをうかがわせる。




その狩ノ三郎行広は、後に温泉郷発展の祖となったということで那須温泉神社境内に祀られ見立神社となった。参道中盤の右側、祖霊社と向かい合うように建っているのがそれである。


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仏教が隆盛をみた中世の長い時代、ここは修験道の基地となった歴史を持つ。温泉の神を祀っていたところに山岳仏教が混じりこみ、やがて那須の山々を大日如来に見立てた修験の山が成立した。神社に隣接して月山寺という密教寺院が建ち、大きな勢力をもったという。

しかし月山寺は明治維新のときに廃寺となり、ふたたび神社の勢いが盛り返して現在に至っている。かつての寺の檀家は神社の氏子となっていて、現在の温泉街の冠婚葬祭は神式で回っている。




さて薀蓄を語っている間に年が明けたようだ。ドーン、ドーンという太鼓の音とともに初詣の列が動き出した。


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氏子の方々と祝詞を読み上げる宮司氏(奥)。今年もまた良き年でありますように〜♪




年が明けるとぞろぞろと人が集まってきた。毎年定番の豚汁と温泉卵が振舞われている。




雪がちらつく中、熱い豚汁は実にうまいヽ(´ー`)ノ 上に見えている真っ黒なのが温泉卵で、鹿の湯のお湯で作ったものという。その他甘酒、煮卵なども振舞われており、なかなかワイルドな満腹感を味わえる。

さてそれはともかく、本年もゆるゆると参りましょう・・・♪

<完>