2008.01.27 鶏頂開拓 (その1)
雪景色を求めて鶏頂開拓に行って参りましたヽ(´ー`)ノ
鶏頂開拓は、会津西街道の高原宿に相当する山間の開拓農地である。江戸末期の文久3年(1863年)に一旦廃村となるが、第二次大戦後ふたたび開拓の鍬が入り、現在は高原野菜の産地となっている。
平面地図をみてもここの立地はわかりにくいので、旧街道と宿場の地理関係を俯瞰図に起こしてみた(注:旧街道は推測で補った部分もあり正確さは保証の限りではない ^^;)。現在の川治〜藤原付近の鬼怒川渓谷の峻険さを嫌って、会津西街道は五十里〜藤原間を標高1200mの高原宿を経由して結んでいた。日光地震で五十里湖が出現し街道が断ち切られると、塩原の小滝経由で尾頭峠を越えるルートが開削されたが、同時期に開削された会津中街道との競争や、その40年後の五十里湖消失に伴う川治ルートとの荷駄競争などで常に翻弄されてきた感がある。
この地にアクセスするには現在では日塩もみじライン(有料観光道路)に依るしかなく、付近には生活用品を買える店もなければガソリンスタンドもない。商業施設としてはスキー場とゴルフ場があるのみで、まさに絵に描いたような僻地である。
…が、今回は景色が目的なので歴史うんちくはほどほどにして上ってみる。積雪は塩原温泉郷ではほとんど見られないが、もみじラインに入るとすぐに路面凍結+積雪地帯となる。
もみじラインの周辺は冬季にはほぼ雪に覆われて真っ白い景色が続く。しかし豪雪地帯というほどではなく、積雪量は30〜50cmほどだ。スキー場はもっとも標高の高い付近にあり、人口降雪機もあるのでゲレンデの積雪量は1m程度はある。
※人口降雪といっても大したことをする訳ではなく、夜間の気温が低いときに高圧ホースで水を撒くと、霧状に飛び散った水滴が空中で凍って積もるという単純なものである。
さてそんな訳でハンターマウンテンスキー場にやってきた。といっても滑るのが目的ではなく、樹氷がみられれば撮っておこうか・・・という下心があってのことである。しかし今朝の状態は樹氷を見るにはいまひとつのようだった。
まだ午前9時前なので人は少ない。そこで滑りもしないのにゲレンデに出てウロウロしてみた。コースの作り方は…どうやらボーダー優先といった感じだな。
晴れてはいるが空気中には細かい氷の粒のようなものが舞っていて、逆光でみるとキラキラと光っている。雪とはちょっと違うようで、もしかしてこれがダイヤモンドダストというものなのだろうか。視界は意外と通っており2kmくらい先までは見えそうだ。
見ていると次々とボーダーが降りてくる。・・・でもエアーをカッコよく決める人はあまりいない(^^;)
そもそもコブ面でジャンプする人は全体の2、3割程度しかいないようだ。TVで見る競技会などの映像と、一般スキー場の実態には当然ながら落差がある。真面目にカッコイイ写真を撮ろうと思ったら、予備のバッテリーを大量に用意してバードウォッチャー並みの心構えでじっくりと待つしかないのかもしれない。
スキー場での撮影は、当然のことながら立ち位置にも非常に気を使わねばならない。コースの真ん中でぼーっと立っている訳にもいかないので、基本は離れた位置から望遠で目いっぱい・・・ということになる。…まあこれは適度に空気を読みながら位置を決めていけばよい。
9時を超えるとだんだん人が増えてきたので、ロッジで軽く食事をして再出発することにした。
除雪は行き届いているものの、基本的に凍結しっぱなしのもみじライン。
あたりは日の通りのよい森である。下草のクマザサとの組み合わせがいい感じだ。
途中、鶏頂山神社の鳥居をみる。筆者はまだ見たことがないのだが、ここは現代でも山岳信仰が生きており白装束の修験者が登ることがあるらしい。
真新しい御幣があるあたり、たしかに管理している人はるようだな。
傍らには登頂100回記念などという碑もあった。よくみると "御嶽教" と書いてあるが、これは明治維新後に誕生した教派神道十三派のひとつだ。日本古来の神道にはもともと教義も戒律もなかったが、明治維新で神仏分離令が出た以降、教団の形をとった宗派が13派ほどあったのである。
全国の霊山がどういうテリトリー分けになっているのか良くわからないが、せっせと登頂しては 「ここはウチの山だ!」 …などと戦国SLGのように取り合いをしていたりするのだろうか? いずれにしてもご苦労なことだと思う。
やがてメイプルヒルスキー場に到着。しかしここは現在倒産しているので進入することはできない。
入り口には、錆びの浮き出た告示版があり、弁護士による警告文が書き付けてあった。開拓地の地域振興を目指してスキーブームに乗り、同一地区に4つもスキー場を作ってしまったツケは今もまだ清算されていない。
中に入れれば、完全無欠のバージンスノーのフィールドと日光連山の眺望が得られるだけに、実に惜しいところだ。
<つづく>
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