2014.04.05 宇都宮以北の桜を眺める(その2)




■ 川崎城址公園

 


鬼怒グリーンパークを出た後は、川崎城址公園を目指してR4をさらに北上していく。氏家周辺でもう一箇所くらいスポットを開拓しても良かったかもしれないが、時間配分を考えてスルーすることにする。

そのフォローという訳でもないのだが、氏家付近(↑)の景観をちょこっと載せてみよう。交差点での信号待ちの時間に200mm目一杯で高原山方面を撮ってみたものだが、望遠圧縮効果が効いて山がググっと寄り 「いったいここは何処ですか」 という風景になった。こういう撮り方は映画撮影などでよく使われる。あまり多用しすぎるのはアレだけれども、ここぞというときに使うとちょっとカッコよくなるので覚えておきたい♪




さて片岡からはr30に分岐して那須野ヶ原の北西端方面を目指していく。筆者的にはこの季節にはあまり行くことのない方面だが、毎度毎度変り映えのしない巡回レポートではアレなので、行き先に一捻り入れてみたのである。




やがて木幡を過ぎ、内川を越えると南北に細長い丘陵がみえてくる。ここがかつて塩谷氏の居城であった川崎城の跡である。現在では城址公園が整備されて矢板市民の憩いの場…になっている筈なのだが、10年くらい前に来たときには荒れ放題で廃墟みたいなところであった(^^;)

あまりの惨状に矢板市は5年位前に心を入れ替えて真面目に整備を始め、今も低予算ながら地味に仕事は進んでいるそうだ。




ここは中世の城郭としては非常に大きく、南北に1.5kmもあった。栃木県内の山城としては黒羽城(1.5km)に匹敵する大きさで、内川、宮川を天然の堀として守りを固め、長らく塩谷氏の本城となっていた。現在は東北自動車道によって丘陵が分断され、公園となっているのは東北道の東側の南北800m程度の領域のみだが、それでも十分に広い。




今回は桜を眺めるのがテーマで歴史探訪系の話はばっさりカットしてしまうけれども、ここに城が作られたのが鎌倉時代の初期で、戦国末期に秀吉の小田原攻めのときの巻き添えで改易、廃城になっていることのみ簡単に記しておこう。

那須家本家もそうなのだが、秀吉の小田原攻めに協力を渋って取り潰された家系は関東には結構多い。塩谷氏ももう少しうまく立ち回って江戸時代まで生き残っていたら、城下の川崎反町は小奇麗な城下町として発展したであろうに、惜しいことをしたものである(^^;)




それはともかく桜の開花状況は…うーん、まだ1~2分咲きといったところかな。公園自体はそれなりに小奇麗になっていて、城山らしい趣が感じられる。




ここは高原山山麓にあたり山から吹き降ろす風が冷たい。さきほどの鬼怒グリーンパークと比較すると標高も100mあまり高いので、桜前線もまだ及び腰といったところだろうか。




ただ同じ敷地内にある枝垂桜は開花が少し早かったようで、既に7分咲きくらいになっていた。気分的には写真を撮るならもうあと2日くらい待ちたい感もあるけれど、まあそれなりにイイカンジにはなってきている。枝ぶりはなかなかに男前でいい木だと思う。




ソメイヨシノの状況もひっくるめると、ここがベストの状況になるのは来週末くらいだろうか。市の財政的にライトアップはちょっと期待できないので(笑)、昼間の明るいうちに来るのが吉かな。

※補足:長峰公園と矢板武記念館はライトアップがあるそうです(^^;)



 

■ 美原公園




さて矢板の山側を見た後は、一転して平野側の大田原を目指した。R4を経由して、日光街道(r461)に入って市街中心部を目指していく。もう時間帯は午後で、春の午後から夕方と言えば雲は出るわガスは出るわで遠景が霞む(→春霞)ことが多いのだが、空は相変わらずスッキリと晴れ渡っていて清々しい。




さて大田原市中心部の桜の見所というと大田原城址公園が有力な候補地なのだが、今回は単に駐車場が大きくてクルマが停めやすいという理由だけで美原公園をチョイスした。




…ただ久しぶりに訪れた美原公園は、一番見栄えが良かった池の周辺が桜並木ごと潰されて、駐車場に変わってしまっていた。筆者がしばらく熊谷で拉致監禁生活を送っている間に小さな名所がひとつ消えてしまった訳で、今更嘆いても仕方の無いことではあるけれども、やはり残念な処置だったと思う。




公園内には実は桜の木はまだたくさん残されてはいるのだが、街路樹とか建物の間にハマリ込むような位置関係がほとんどなので、ちょっと遠景としてはイケた絵になりにくい。…まあ、ここは憩いの公園というよりはハコモノ施設の集積場になりつつあるので、次回からは大田原城方面に向かえという風景の神様の思し召しと思うことにしよう(^^;)




…ということで、仕方が無いのでアオリアングルで余計なものを除外して撮影。どこで撮ったのか不明の素材写真みたいになってしまったけれども、まあこれはこれということで。





…ところで、肝心の桜の咲き方は、山に近い川崎城址よりもこちらのほうが進んでおり、満開一歩手前の7~8分咲きであった。明日も晴天が続けば、もう満開で間違いないだろう。

それにしても、これだけ見ると宇都宮から大田原まで直線距離で40kmでタイムラグが1日あるかないか…ということになってしまうけれども、それでいいのだろうか(^^;) 例年はもっと差があるような気がしたのだけれどなぁ…




・・・しかしまあ、事実は事実として認めるべきなんだろうな。だって、実際にそうなのだから(笑)



 

■ 東那須野公園




さて大田原からさらに10kmほど北上して、いよいよ筆者の居住する那須塩原市に戻ってきた。夕方には天候が崩れる…と天気予報では言っていたように思うが、ひとまずその心配はなさそうで結構なことである。




ということで、本日最後のチェックポイントは筆者の最近の春の定番となっている東那須野公園である。平安初期にまで遡る古い歴史をもつ沼野田和丘陵(稲荷山/峰山)の山頂付近につくられた公園で、土地の歴史は1200年あまりあるが公園の歴史は20年(笑)という、まだピカピカ(?)の公園である。




ここは3月には水仙と梅が咲き、桜の季節の前後は花祭りと称して幟などが立っている。祭りと言っても大々的なイベントがある訳ではなく単に "そういう期間なんですヨ" と宣言しているだけなのだが、まあ何も無いよりは気分のノリが幾分かは違ってくる…のかな?(笑)




それはともかく、ここではまだ桜の季節は本格化していないようであった。ちらほら花はほころんでいるのだが、実質的には那須塩原市のターンは来週半ば以降の開始だろう。現在の公園の主役は、どうやら満開の水仙のようである。




梅は遅咲きの木がまだいくらか花をつけている。これはこれで青空に映えて良し♪




山頂にはゆったりと散策している人がいた。雑談に混じって、まだ桜には早いみたいですねぇ…という声が聞こえてくる。しかしクルマで10分も南に走ればその願いが叶う程度にまでには桜前線は進行して来ているのである。それももうあとほんの少しで、ここに届く。




山頂からは、雪を戴く那須山塊がよく見えた。山麓部分の雪は随分融けたようだが、まだまだ冬の余韻は残っている。

この付近の春は、これから本格化していく。来週以降に始まるであろう桜の季節に、静かに期待することとしよう。

…ということで、今回はここまでとしたい。


<完>