2020.10.07 姥ヶ平の紅葉 (その1)
久方ぶりに姥ヶ平の紅葉を見て参りました (´・ω・`)ノ
さて今回は久方ぶり?の紅葉の記事となる。 何故久方ぶりかといえば、那須地域では年々観光客の突撃具合が過激化して駐車場の争奪戦がエライことになっており、地元民でさえ弾(はじ)き出されてしまう現実があったためだ。しかし今年はコロナウイルス騒ぎのお陰ですこしばかり人出が少なくなっている。それならば……と、姥ヶ平を狙ってみることにしたのである。
ちなみに今年は関東甲信越~東北方面に於いて天気の神様の大いなる祝福(!!)があり、紅葉の当たり年になることが約束されている。
何かといえば、今年は東日本に台風が一個も上陸していないので山が荒れておらず、木々はふさふさと綺麗な葉を茂らせているからだ。加えて8月は猛暑と晴天がつづき、9月になってから比較的ストレートに気温が低下した。 紅葉が色づく条件としては、なかなかに理想的なのだ。
しかしここに来て、大型で強い精力の台風14号が不穏な動きを見せてきた。気象庁によれば関東地方直撃コースで迫ってきている。 その到達予想は週末の10/10(土)~10/11(日)で、秋雨前線の残滓との兼ね合いから10/8(木)あたりから雨足が強まることが予想された。 これに直撃されてしまうとせっかくの美しい紅葉が痛めつけられてしまう恐れがある。
そこで筆者は、天候の悪化する前に姥ヶ平の紅葉を見ておこうと10/7(水)をターゲットに決めて休暇を取得したのであった。 ちなみに前日の10/6の段階で最低気温3℃未満の冷え込みは累積2日、同5℃未満は5日という状況である。 ベスト条件にはあと1日くらい3℃未満の積み上げが欲しいところだが、贅沢も言っていられない。
■平日未明の混雑具合は
さてそんな訳で、筆者は当日の午前2時頃家を出て茶臼岳を目指した。 さすがに台風接近中の平日の未明にはクルマの往来は少ない。
そして登ってきた峠の茶屋駐車場。 既に半分くらいは先行者で埋まっている。 ただ平日ということもあってか徹夜組も週末よりは少ないようだ。
見れば皆クルマの中で仮眠をとっている。 勇者なのか暇人なのか変人なのか評価は分かれそうだが 「アンタも好きねぇ」 という点では筆者もまあ同類である(何w)。
ちなみにロープウエイの駐車場は夜間は閉鎖されていて入れない。 かつて那須ロープウェイを経営していた東野交通は、経営難から2018年10月に関東バスに吸収合併され、従来より合理的な経営判断をするようになった。 客でない奴に駐車場など提供できるか、というのもその内にあるようで、奥那須の駐車事情はずいぶんと世知辛くなった気がする。
さて下界を見下ろすと……おお、白河の街の明かりがなかなかに美しい。 雲は多めだが星もいくらか見える。
そうは言っても天気予報では雲が近づきつつあり、夕方からは雨も降るらしいので、日が昇ったらなるべく速やかな行動を心掛けたい。
そのままクルマの中で仮眠を取りつつ時間を潰し……気が付けば午前6時になっていた。駐車場に待機していた暇人たちが東の空を眺めている。皆ご来光を待っているらしい。
やがて太陽が顔をのぞかせる。 最新の天気予報をチェックすると、本日は晴れ間よりも曇り基調の天候になりそうだ。さて、早めに活動開始と行こうか。
■ 登山道を登る
そんなわけで駐車場から登山道入口へと入っていく。
さて姥ヶ平のレポートは過去何度もアップしているのでいまさら説明の必要もなさそうな気がするけれど(笑)、念のために周辺MAP(↑)を掲載してみよう。 これは県営駐車場のある東麓側で、姥ヶ平は茶臼岳に隠れて見えない。
ロープウェイを使わない場合、まず峠の茶屋駐車場からかつての鉱山道=現在の峰の茶屋跡避難小屋に向かうルートで1.2kmほど登ることになる。駐車場から最初の600mほどの傾斜が急なので運動不足の方にとっては歩き出しがややキツイかもしれない。 ただし中の茶屋跡付近まで登れば、あとはゆるやかで歩きやすいコースである。
続いてこちら↑が西麓の図になる。峰の茶屋跡避難小屋からは幾筋にも登山道が分岐し、姥ヶ平に向かうには牛ヶ首に向かう水平な道を行く。ここは鉱山時代のトロッコ軌道が元になっており、アップダウンのほとんどないルートだ。噴気の出ている無間地獄を経由して牛ヶ首まで向かい、そこから旧三斗小屋集落方面に500mほど下ると姥ヶ平に到着する。
姥ヶ平の標高はおよそ1600m。 地形的に大陸からやってくる冷たい風が当たりやすいところで、放射冷却のあった翌朝には茶臼岳、日の出平の斜面から冷気が下りてきて溜まりやすい地形でもある。 この条件があるため、同じ標高の周辺の山々よりも姥ヶ平は紅葉の色づきが幾分か早い。 さらには茶臼岳の噴煙をバックに紅葉の赤い木々が分布する構図が得られることから、写真スポットとしても人気がある。
その登山道の最初のきつい登りの初めに、奥の沢温泉の湯気が一瞬みえるスポットがある。 観光開発からは取り残された明礬沢渓谷の斜面から湧きだす温泉で、入浴施設はなく付近の観光ホテルへの引湯を主にしている。 この湯気の手前に、紅葉の色づきの鮮やかな一角がある。時間があればあの付近も見てみたいが、本日はスルーだ。
ちなみに登山道の色づき具合はこんな状況である。まだ序の口くらいの気もするが、まあ悪くはない。台風条件がなければもうあと4~5日熟成させたい気もするけれど、是非もなし。
道すがら、紅葉が微妙なときの救世主、ナナカマドがいい感じで色づいていた。
ナナカマドの実はかなり早い段階から赤みを帯び、落葉後もしばらく色を保ってくれるので被写体としてはかなり重宝されている。多少季節を外してしまってもこれさえ撮っておけば 「とりあえず秋っぽい写真」 になるので覚えておきたい
森林限界を抜けて中の茶屋まで到達すると、朝日岳がよく見える。 この山の斜面の紅葉もなかなか見事だ。本日の色づき具合は真っ赤というよりはオレンジ色で、こちらも可能であればもう幾日か熟成させたいところだが是非もなし。
ん? ……見れば予想より早めに雲が出てきているな。
…などと思っている間に、山の上の方がどんどんガスってきた。
うわ、これでは文字通りの五里霧中ではないか。
■ 避難小屋で待機
峰の茶屋跡の避難小屋に到達する頃には、濃霧で視界は50m程度になってしまっていた。 同じタイミングで登ってきた登山客の中には諦めて下山する者も出始めている。
……が、ここは待ちの一手と見て避難小屋でゆっくりと暇つぶしをすることにしよう。
どのみち本日はあまり寄り道をする予定はない。 メッシュ予報では昼頃に雲の切れる時間帯がありそうで、それまでは待機する余裕がある。 ただ雨は昨日の予報からやや早まって夕方には降り出すらしく、雲が切れたら一撃必殺的に姥ヶ平に達し、長居はせずに撤収したほうが良さそうか。
その間、下界から登ってきた御同輩たちの様子を筆者はゆるゆるとした気分で眺めていた。
山の西麓=姥ヶ平の様子は東麓側からは直接見えないので、避難小屋まで登ってきてはじめてその様子が垣間見えることになる。視界が効かないことがわかると 「こりゃアカンですわ」 と言って降りていく者、それでも前進する者とに二分していく。
山での行動は誰に強制されるわけでもない。全ては自己判断と自己責任の世界だ。そもそも絶対の正解などというものは無く、何を取って何を捨てるかという価値観の問題に帰結する。
筆者がみるところ撤退派と前進派はほぼ同数で、待機して時を待つ人はほぼいない。 現代人というやつはどうも白黒をさっさと判定するのを美徳としているらしい。 ……というか、筆者はチキン気味の少数派ということになるのかな(笑)
そんな訳で待機すること約3時間、午前10時を過ぎてようやく雲が切れてわずかばかりの青空が覗いた。
予報によれば、視界の効いている時間帯は短い。 さあ、行動を開始しよう。
【つづく】