2013.09.12 水陸両用バスで川治ダムをクルーズ(その2)



 

■ ダム湖に向かう




さてそんな訳でダム湖に向かっていく。いつのまにか曇天が青空になっていて、まるで筆者の日ごろの善行を祝福してくれているかのような天の采配が嬉しい(ぉぃw)




ダム湖に入る前に、緊急時の対応についていくらか説明があった。ギャグを交えながらの解説だったが、重要なことなのでいくらか書き添えておきたい。

このツアーでは、ジャケット型の救命胴衣ではなく、抱え込む形の簡易な浮き袋をバスに備え付けている。場所は座席の真下である。もし緊急事態が起こってバスが浸水したようは場合は、これを抱えて水に浮いていろ、というのが指示の内容になる。




バスに窓ガラスが無く広いオープンスペースになっているのはこの緊急時の対策を兼ねているもので、要するにいざという時はここから脱出するのである。これは安全指針として当局からそのような設計が指導されているそうで、紅葉の季節になって寒くなっても吹きさらしのままなのは我慢してね、という趣旨のオチで話が締めくくられた。




ちなみに緊急時に脱出してプカプカと浮いている人を救出する役として、ここでは小型のモーターボートと控えのスタッフが2名常時待機している。人件費を考えたら結構な負担のような気もするけれども、安全にはそれなりに配慮がされているらしい。



 

■ いよいよ、入水だ♪ヽ(・∀・)ノ




さてそんなわけでいよいよ入水である。これはもう、景気よくザブン!と突っ込んでいき、完全に水に浮いたところでスクリューがぐぉぉぉ〜ん…と回りだした。気分的には、サンダーバードのテーマでも流しながら行いたい儀式だ(笑)




車輪からスクリューへの切り替えは、非常にスムーズに行われた。

おお〜、走ってる、走ってる…♪




後ろを振り返ると、控えのスタッフが手を振っているのが見えた。この水中に没している道路はダム湖ができる以前の生活道路で、水没具合がちょうど水陸両用車の入水/上陸に都合が良いので使われているらしい。

実を言えば普通の自然湖ではなくダム湖が水陸両用車のクルージングに向いているのは、こういう水没道路(旧道の残骸)がうまく利用できるためなのである。普通の湖でクルージングをしようとするとそれ専用の入水ポイントを自前で建設する必要があり、水位の変化に対応するにはかなり長大なエントリーにならざるを得ない。それがダム湖であれば昔の水没道路を利用することで非常に簡便にサービスを開始できるわけだ。




このクルージングサービスがこの地域で始まったのは、おそらくは五十里/川治/湯西川/川俣といったダム湖が集中する地の利を生かしたものであったに相違なく、事業主氏はなかなかに目の付け所が良かったと思う。




肝心のクルージングはというと、渇水で水が少ないながらも水深は十分あって、航行にはまったく支障はないようだった。船としての乗り心地は特に違和感などはなく、バスだからといって何か不都合があるような感じはしない。

航行メニューは湖のど真ん中というよりは、あちこちの岸に近づきながら沿岸部の景観を眺めていくというルート取りになっていた。付近には釣り船やボート類はおらず、純粋に風景を楽しむことができるという点でポイントは高そうだ。



なお背後の航跡はこんな感じである。スクリューによる波はほとんど立たず、車体のデザインが無骨なハコ形状の割りに航跡波もあまり派手ではない。実をいうと筆者はもっと水の抵抗をガンガン受けて波をたてまくり…という状況を想像していたので、この安定振りには少しばかり感心してしまった。…これ、高速航行はどのくらいまでイケるのだろう?(^^;)




クルーズは、ゆるゆると続いていく。断崖だらけのダム湖の岸辺を水の側から見るというのは少しばかり新鮮な景観である。普段なら見ることのできない水没林なども、渇水期ならではの面白いオブジェとして見ることができた。




むきだしの岩盤部分を目測してみると、高さは20mほどあるようだ。満水時であれば水に浸かる部分である。紅葉の頃には水量も回復してほしいところだが…はてさて、どうなることかな。




さて右舷側、左舷側ともにそれなりに乗客に景色をみせようと、バスは何度か向きを変えながら水面をくるくるとめぐり…




やがてリターンフェーズに入った。…もう少し、マターリと時間を過ごしたかったところだけれど、こればかりは時間商売なので仕方が無い。



 

■ 上陸、そして帰投




やがて、入水したのと同じポイントに戻ってきた。水没道路に向かってスクリューでぐおおおぉぉん…と推進していき、タイヤが接地したところで慣性力を使いながらグリップ、一気に上陸する。




もっとぎこちないものを想像していただけに、このソツのない上陸はなかなかの名人芸のように思える。




そして "船" から "車" にジョブチェンジした水陸両用車は、また同じコースをたどって道の駅へと戻っていった。




ダム見学を含めて1時間というのは、長いようで短い。あ〜〜、もう、戻ってきてしまったか。




・・・ということで、タラップから降りて本日の臨時ミッションは終了した。




事後は、とりあえず蕎麦を食って英気を養い・・・




足湯でゆったり ヽ(´ー`)ノ

さて次に機会があれば湯西川コースも乗ってみたいところだけど…チャンスが巡ってくるのはいったい何時になるのだろう。・・・ま、そのうちゆったりと狙ってみよう♪


<完>