■2005.10.13 那須山頂で紅葉はじまる (その5)




■ 枯れ沢から尾根筋を登る




さて 茶臼岳をぐるりと巻いて北側までやってきた。このあたりの紅葉はピークを過ぎてしまったらしく、枯葉色になりつつある。山の季節は一様ではないことの証左でもあるのだけれど、やはり先週末くらいに来たかったところだ。




ここで足元に道らしきものが出現した。しかしこれは人の踏み跡ではなく、雨の流れた沢筋である。道だと思って進んでいくと、断崖絶壁の谷底に至ってしまう。だまされないように気をつけなければならない。




わかりにくかもしれないので図で書き起こすと、筆者は今、通常の登山ルートから外れてイレギュラールートを進んでいる。ただしイレギュラーとは言っても踏み跡はあり、かつては登山ルートのひとつだったのだろうと思われる。




そこをたどって目前の尾根筋に上ることにする。




踏み跡はジグザグに続いている。それを見つけながら、えっちらおっちらと登る。




途中で振り返ると、ハイマツ原に広葉樹の赤がぽつり、ぽつりと散らばる原野の全景がみわたせる。あそこを通ってきたのか…やれやれ、結構な健脚コースになってしまったな。




尾根を登りきったところで見下ろすと、こんな景観だった。

こうしてみると、結構な断崖をのぼってきたらしい。あたりにはまたコメススキが見え出した。ロープウェイ山頂駅くらいの高さにはなっているのかな?




その尾根から望遠で捉える立ち枯れの木々。明治時代の大噴火で焼かれるまでは、茶臼岳にはあのくらいの木々が鬱蒼と茂っていたのだな・・・。




尾根からみた茶臼岳。写真右端に見える噴煙が、姥ヶ平から正面に見えていた噴煙だ。この尾根を進んでいけば、登山道に合流できる。

ここで耳を澄ますと、人の話し声が聞こえてきた。「うわー綺麗〜」 などとかなり明瞭に聞こえる。実はこれ、遥か向こうの登山道を通る登山者の声なのである。風のない日の山は本当に静かで、数キロ先の話し声までよく聞こえる。冗談のようだが、本当の話だ。




尾根を進むと硫黄色の目立つ谷間が見えてきた。さきほどの沢筋はここを流れ下った雨水が作ったもので、道だと思って登ってしまうと崖下で 「Oh、My God !」 と叫ぶハメになる。




尾根の北側をみると、こちらにもハイマツ原が広がっている。向こう側(=標高低い)は広葉樹林帯で、紅葉の季節になるとくっきりと植物相の違いが判るようになる。




さらに登ると、硫黄のニオイとともに足元から噴気が立ち上りだす。ここまでくると植物はほとんどなくなる。




そして、登山道に復帰。




見れば、立ち入り禁止の表記があった。いま登ってきたルートは、公式には立ち入り禁止になっているらしい。…ということで、良い子は真似をしないように(笑)


<続く>