2016.02.16 常陸〜房総周遊記:野島崎編(その1)




前回のつづき〜(´・ω・`)ノ



さて三日目がやってきた。初日、二日目と遠距離を走ってかなりハイペースで移動してきたけれども、今日はあまり遠出はしないで少々落ち着いた過ごし方をしてみたい。そんな訳で、野島崎の近傍をゆるゆると散策してみることにしよう。

今回レポートする範囲は千倉〜平砂浦のざっくり20km圏くらいである。黒潮に洗われる南房総の冬景色(…というか、筆者の感覚ではほとんど春なのだが ^^;)を、のんびりと堪能してみたい。



 

■ 野島崎で迎える夜明け




さて宿で目が覚めたのは、まだ星の瞬(またた)く時間帯だった。日の出にはまだ1時間半ほどある。窓を開けると東の空がちょうど仄(ほの)明るくなってきたところで、しかし天の川はまだ見えており、遠くには漁火も見える。

昨日まではぱっとしない空模様だったけれども、今日は晴天が望めそうだ。そう思うと、無性に夜明けを見てみたくなった。




夜明けを見るなら、突端がいい。そんなわけで、野島崎の岬の先端に出てみることにした。ここは房総半島の南端であるのと同時に、関東地方の南端でもある。




岬の中央に建つ灯台はまだ明るい。点灯時間は原則として日没から日の出までだそうで、本日は午前06:21に消灯となる。季節変動に応じて日々1分くらいずつズレていくらしい。




余談になるがかつての野島崎は "野島" と呼ばれる独立島で、江戸時代中期の元禄地震(1703)で海底が5mあまり隆起して地続きとなったものだ。大正時代には関東大震災(1923)でさらに2mあまり隆起して今日に至っている。

隆起前の海岸線(江戸時代初期)はこんな(↑)感じであったと思われる。灯台から厳島神社の境内までの南北200m、東西80mくらいの高台部分が島で、現在リゾートホテルや旅館が並んでいるR410の界隈はこの頃には海底であった。




隆起した岩礁部は当初は海産物の天日干しをする場所として使われ、のちに客土されて花畑となり、やがて観光施設が建った。この地震と隆起というのが、南房総の海岸線を理解するうえでのキーワードになる。




そんな岩礁地帯の遊歩道をゆるゆると歩いていく。

気温は3℃…いくら暖かいと言われる南房総でも、明け方にはそれなりに冷える。しかし筆者の地元=那須でいえばこれは4月の最低気温の平均水準で、まあ夜桜を見に行く程度の感覚であれば散策するのには困らない。




岬の突端には、ベンチが一基設置されている。隣に 「サンライズポイント」 と記された石柱があり、どうやら若いカップルのデートスポットを意識して設置されているようだ。ただ真冬の平日、それもこの時間帯に来る人はいない。

…まあ、空いているからには謹んで有効利用させて頂くとしようか♪ (^^;)




ベンチは高さ5mほどの岩礁の上にあり、眺めはすこぶる良い。

聞こえるのは波の音ばかり。自販機で買ったちょっとぬるめの缶コーヒーをちびちびやりながら、筆者は心地よい孤独のひとときを過ごしてみた。何ものにも邪魔されない静かなる時間である。




どこかで聞いた受け売りだけれども、こういう単調な時間をゆったり過ごすのは、精神衛生的にとても良いものであるらしい。「何もしない」 ということの効能は大きく、こういう一見すると暇そうな時間の中で、日々擦り減った心は勝手に自動修復されていくのだそうだ。




まあ筆者などはちょっとリフレッシュしすぎなんじゃないの的なところもあるのだが(笑)、最近身の回りでメンタルに変調を来たした人を幾人か見ているので、心に余裕があることの大切さというのは実感していたりする。

人は余裕がなくなると感動を忘れ、感動がなくなると希望も見出せなくなる。そうならないためにも "暇人に徹する時間" (なんだそりゃ ^^;)と言うのは必要なのだ。

Yes, God bless my spare time ♪ (神よ暇に祝福あれ)




やがて太陽が昇ってきた。
おお…空は澄み渡って、なにやら今日は佳い一日になりそうだな。




昨日は雨だったが、今日は晴天になる。

天気には周期性があるのだから当たり前なのだろうけれど、やはり日の出というのは希望の象徴みたいなものだ。…願わくば、今日が最高の一日になりますように。



さてそんな訳で、筆者も本日の行動を開始することにしよう。

まずは手始めに最南端の碑と灯台のツーショットを撮ってみる。見れば日の出の時刻を過ぎて灯台は消灯したようだ。世界が明るくなれば人工灯も不要になる。これもまた真理である。




■ 野島崎から伊豆大島を見る




日の出スポットから駐車場に戻ると、朝の散歩らしいご老体がぼちぼち出現していた。海岸風景を撮影していると 「おや旅行かい」 などと声をかけられた。面白いことに一眼レフを持っているとこういうことが結構ある。「…ええ、まあ。わはは♪」 と答えると、「じゃあ、あの写真を撮っていくといい」 と海の方を見るように促された。




見れば伊豆大島が雪を被っている。

「へえ。大島にも雪が降るのですか…!」 という筆者に、ご老体はたいそう満足げな顔をして 「こんなに綺麗に見えるのは年に何日もないんだ」 と仰った。




野島崎から伊豆大島までは約50kmほどある。空気状態と降雪の希少性を考えると、どうやら筆者はなかなか良いタイミングでここを訪れたことになるらしい。本土側で雨なのに島に降雪というのも面白い。

気が付くと、ご老体はぼちぼち増え始めている別の観光客にも同じような話をしている(^^;) 見れば話をするほうもされる方も、いい顔をして島を眺めている。それ自体が、たいそう良い風景になっているように筆者には思われた。




■ 海とクルマの即席撮影会(笑)




さて本日は朝のうちに東の千倉方面を見て、ゆるゆると西の平砂浦方面に移動するつもりなのだが、日差しのあるうちに昨日までなかなか撮れなかった海と愛車の写真をいくらか稼いでおくことにしよう。まずは野島崎の舟揚場で漁船とのツーショット。銚子ではうまく撮れなかったシチュエーションのリベンジだ。船と一緒に写ったからといって何だというツッコミもあるに違いないと思うけれど、まあ記念なのでとりあえず(笑)




そこから200mほど東に行くと、野島崎公園なる芝生+駐車場のスペースがある。岬の近傍にはこんな感じの芝地が多い。薄い表土の下はもう岩盤なので、土止めと景観要素を兼ねた処置なのだろう。…それにしてもこの景観、とても真冬の関東地方とは思えないな(^^;)



駐車場わきの椰子の木がいい感じだったので愛車とツーショット。1月末に納車されてまだ3週間くらいなのだが、これなら 「夏の写真です」 といっても通ってしまいそうだ。




野島崎公園のさらに隣には磯笛公園というやはり芝生のスペースがあり、小さな砂浜があったので灯台方面を望んで撮ってみた。常緑樹が多いところなのでやはり真冬であっても冬らしくない景観になっている。TVドラマや映画のロケに使えばオールシーズンで対応できそうな気がする。




クルマの写真は…まだ日が高くないのでちょっと影を長く引きすぎか。




せっかく晴れたのだからチタニウムカーキの色がもう少し出てほしいところだが、なかなかに微妙だ。光の当たり方で全然色味が違ってしまうのが悩ましい(^^;)




海岸をハシゴしながらいろいろ撮って見たものの、結局これといった会心の一枚には至らず。まあ…あんまり変に凝ったアングルで撮っても馬鹿みたいなので(^^;)、適当に切り上げて先に進むことにしようか(笑)


<つづく>