写真紀行のすゝめ:撮り方とか


夕日を撮る


今回は一般的な露出補正のレベルを超越(?)した事例として夕日についてつらつらと書いてみます。綺麗な割に輝度差が激しくてカメラ泣かせの被写体ですね。でもどういう訳か、カメラを持つと誰もが撮りたがるのですよ。特に夕日の見える海辺に行くと…(^^;)




太陽は明るかった!!ヽ(´∀`)ノ




そうなんです。太陽は明るいのです。何も考えずに太陽を写そうとすると、撮像素子は上の写真のように飽和↑して白トビしてしまいます。そりゃーもう、太陽は輝度の桁が一般的な風景とは違いすぎますから。(右側の写真はCCDが飽和しかけてスミアが発生しているような気がします)

こういう極端に輝度の高いものを撮影するには、通常はNDフィルターを使います(※)。色味を損なわずに透過率だけを落とすフィルターで、ND4とかND8などといった型式で売られています。数値は何分の一まで暗くするかを意味し、たとえばND8では通常の1/8にまで撮影画像が暗くなります。特殊なものとしては日食観察用に ND100000(!!) なんてのもありますけれども、それはもう風景撮影とは次元が違ってしまいますのでここでは考えないようにしましょう(^^;) 普通はND4 か ND8 を持っていれば十分です。

※NDフィルターはどちらかというと三脚と組み合わせて滝の流し撮りなどの目的で使われることが多いです。減光してその分長い時間シャッターを開いておき、水の流れを線状に撮影するetcなど…




ところで日没直前の夕日を撮る場合だと、実はND無しでもぎりぎりイケてしまいます。これは大気そのものがNDフィルター的な役割を果たしてくれるからで、少々遠景が霞んでいるくらいの空模様だと撮影もうまくいきます。

この↑作例はそんな空模様の事例で、NDフィルターは不使用です (…というかこの日は持っていなかった)。暗めの望遠レンズである Sigma 70-300mm D 1:4-5.6 DG を望遠いっぱい (=暗い方いっぱい) にして、F22まで絞り、ISO感度は常用域最低(このときはD300だったのでISO-200)とし、さらに露出補正を-5段かけてこんな感じに仕上がりました。ただしタネ明かしをすると、これでも若干露出オーバー気味だったので最後の一押しとしてPLフィルターをつけて減光しています(ぉぃ^^;)。

これはノーマル状態のカメラで出来るぎりぎりに近いアンダー条件になると思いますので、やはり保険として ND4 or ND8 は持っていた方が良いと思います。三脚を使わない派のカメラマンだと実質的に夕日専用フィルターってことになってしまいそうですが(笑)



これも似たような撮り方の夕日です。筆者的には雲ひとつ無い晴天よりは多少雲があったほうが空の染まり具合に趣があるような気がします。…といっても雲具合が撮影者の都合にあわせてくれる訳でもないので、その日のコンディションに合わせて撮り切るしかないんですけどね。




日没後も、すぐに帰ってはいけない




なお夕日が沈んでも 「あ〜、終わった」 …などとスタスタと帰ってはいけません。雲の状況にもよりますが、日没から15〜30分くらいの時間帯が、実は空の染まり具合が一番赤くなるのです。缶コーヒーでも片手に、暮れ行く空の変化をゆったりと眺めてマターリとしましょう。




さらに時間が経過して空が群青色になる頃、手前に人物や木、建物などを置いてシルエットとして組み合わせるには絶妙の時間帯となります。いい感じのカップルが出没し始めるのもこの頃なので、見かけたら馬に蹴られない程度に借景させていただきましょう(^^;)

…え? 余計なお世話ですか、ハイごもっともでw