2014.05.03 新緑の那須を周遊する:後篇(その2)




■ 那須フラワーワールド




余笹川を過ぎると、木々の緑がよりいっそう "若く" なった。この付近は標高550mあまり。広谷地よりも100mほど高く、関谷と比較すると標高差は150m、本日最初に訪れた品川台地を基準にすれば標高差は400mに及ぶ。400mも違うと気温差に換算して2.4℃、季節変動に換算しておよそ半月ほど過去にタイムスリップするのと等価である。




さてここで筆者は、那須フラワーワールドに立ち寄ることにした。70kmも走って一か所くらいは有料の拝観施設に立ち寄らないと貧乏にもホドがあるだろう…という訳でもないのだが(笑)、ちょうどお花畑が見頃なので、スルーするには惜しいと思ったのである。

ここはr68沿いの観光施設としては最も北に位置しており、広い丘陵地に露地植えで一面の花畑が広がっている。年によってはGWに開花時期が間に合わないこともしばしばなのだが、今年は4月の気温が高かったこともあってチューリップが既に満開になっている。




フラワーワールドは白河の南湖公園脇にも営業拠点があって、どうやらそちらが本店らしいのだが、景観の広々感としては那須の方に軍配があがる。筆者の周辺ではアルパカ牧場が一時のブームを過ぎたのと入れ替わるように存在感を増してきているとの評価が高い。




那須街道(r17)からは10kmほど離れていて立地としてはそれほど有利とも思えないところなのだが、筆者の到着した AM 9:40 頃(開園時間は9:00)には駐車場はほぼ一杯だった。




さて入ってみると…おお、たしかに開花状態は丁度いい具合のようだヽ(´ー`)ノ




ここの花の並び方は一番奥まで行って那須山塊をバックにしたときにちょうど具合よく見える配列になっている。残雪具合とのコラボレーションもまずまずで、露地栽培ならではの解放感がすばらしい。ひとまずはこの景色を見ながらまったりと休憩してみよう。




朝食べ損ねたソフトクリームもようやくここで調達。まだ引きずっていたのかよ、とのツッコミがありそうだが、やはり漢たるもの初志は貫徹しなければならない(何 ^^;) …ついでに冷たいコーラも頂いて一息つく。ふー。




園内にはチューリップだけがある訳ではなく、他の品種(種類はよくわからないのだが ^^;)も植えてあって 「次の見どころ」 を形成しつつある。…が、こちらは見頃になるまでもうしばらくかかりそうかな。ちなみにチューリップの次に立ち上がってくるのはルピナスやバラらしい。




園内のソメイヨシノは既に散っていて、桜系では遅咲きの八重桜が咲いている。…が、こちらも主役という感じではない。




やはりこの季節のメインターゲットは、チューリップということになるのだろう。




ここに植えられているチューリップの品種は多岐にわたる。株の総数は22万ほどあるそうで、無粋な柵などは無いために自由に寄って眺めることができる。花の写真を撮りたい人にはこの制限の少なさはありがたく、踏み荒らさない程度の節度をもって紳士的に鑑賞させてもらうこととしよう(^^;)

それにしても・・・ナニゲに見過ごしてしまいそうだけれども、大量の品種を混植しつつ、開花の時期が全体でぴったり合っているのはさすがだな。



 

■ 園芸品種は意外と風景写真には合わない…?




ところで園内をカメラ片手にゆるゆると散策してみて気が付いたことがある。有料の植物園だけに植えてある品種は非常に多いのだけれど、実際に写真に撮ってみると、いわゆる "変わり種品種" というのは写真の題材としては意外に使いづらのである。




というのも、奇抜な外観の品種は 「これはチューリップですヨ」 というのが一目ではなかなか分かりにくく、画面内に取り込んでも 「何だこりゃ?」 という外連味のほうが先に来てしまう。つまり風景の題材というよりも、一発芸的な "ネタ写真" になってしまうのだなぁ…(^^;)




いわゆる記号論的にみると、写真というのは案外保守的な認識のうえに成り立っているようで、特に風景写真においては誰でもよく知っている季節の記号(=この場合は花)が、特に奇をてらうことなくそこにある…というのが、どうやら好まれるらしい。そういう意味では、園芸家の中の人の向いている方向と、写真家の向いている方向は必ずしも一致していない。




ただ尖った品種、凡庸な品種など数あれど、それらが混在している花畑を十分にロングに引いて捉えれば、個々の花々は点描のひとつぶに還元してしまってもはや品種は区別できなくなってしまう。つまり外連味のある花は敢えてロングで撮って無個性化してしまう…という処理の仕方もある訳で、撮り方にもいろいろあるのだな…などと改めて考えてしまった(^^;)



そのまましばらくゆるゆると過ごし、最後に茶臼岳をバックに花畑を撮ってみた。…が、これは見事な失敗写真となった(^^;) 画面では縮小効果で目立たなくなっているけれども、F13まで絞ればパンフォーカスになるかと思いきや、前ピンすぎて奥の山が微妙にピンボケになってしまったのである。…まあこんな日もあるさということで(爆)



 

■ 丘陵から見る那須山塊




さてフラワーワールドを出てからは、近所の牧草地を軽く巡回。場所によってはタンポポが凄い密集度になっていて驚く(笑)




日も高くなって、那須山塊の向こう側にはいくらか雲も出てきた。…といっても、あれがこちらまで流れてくることは殆どない。




手前に余計なものを置かずに山頂だけをアップにすると、今度はちゃんとピンが来た(^^;)

残雪は標高1200mくらいから上に残っている。200mmでアップ(↑)にすると画面中央付近にロープウェーの山頂駅(1680m)が見える。この残雪具合だとロープウェーで登って牛ヶ首方面(画面左)に行くには雪渓越えが必要かもしれないな。




戯れに撮影画像のコントラストを上げると、ゴンドラの運行状況が写っていた。これを撮影しているのは1600万画素の普及機である Nikon D7000 だが、10km以上の距離があっても空気の様態が良ければこれだけの解像感が得られるのだから面白い。


<つづく>