2016.01.24 雪の白河:〜X-TRAIL T32 デビュー戦〜(その2)




■ 川霧

 


さてこのまま盆地の東の果てを目指してもまあ悪くはないのだが、デビュー戦であまり無理をしたくはないので見晴らしの良い農道からは撤退することにした。




なにが無理なのかというと、写真では分かりにくいと思うけれども除雪された雪はカチカチに凍り付いて石のようになっており、下手に接触するとボディに傷をつけてしまいそうなのだ。トラクターが通れるだけの広さしかない農道で、納車の翌日にガリガリと擦り跡をつけてしまうのはさすがに偲びない(^^;)




撤退の途中、盆地の中央を流れる社川に川霧がかかっているのをみた。この川は阿武隈川の支流で、白河関付近から湧き出してこの盆地を潤したのち阿武隈川に合流していく。湧水なので水温が高めなのだろうか、川霧の立ち方がなかなかにダイナミックだった。




川霧を逆光側からみると太陽光が散乱してちょっと幻想的である。サギのような鳥のシルエットがみえたので望遠一杯で狙ってみたけれど、ちょっとばかり遠すぎたか。こういうのをちゃんと捉えようとするとバズーカズームが欲しくなるのだろうな・・・さすがにクルマ投資に続いてカメラ投資はできないけれども(^^;)




■ 南湖公園へ




さて除雪の行き届いた一般道に出たのちは、南湖を目指す。




南湖は江戸時代に白河藩主:松平定信(寛政の改革を行った人)が庭園として整備した湖で、"士民共楽" の思想に基づいて一般の領民にも立ち入りを許したことから日本で最初の公園とされている。現在でもここは南湖公園として維持整備されており、白河に行ったらぜひとも押さえておきたい観光スポットである。




とはいえ今回はクルマのデビュー戦という位置づけで書いているので、歴史的な意義についてはばっさり省略。ひとまず景観が眺められれば良しとしよう。




…と思いながら到着してみれば、ありゃりゃ…工事中( ̄▽ ̄;) 一番見晴らしのよいところにクルマを乗り入れることはできなかった。




仕方がないので徒歩でトホホ…的に岸辺まで行き、「とりあえず来たぜ」 的な風景を撮った。本当はクルマの背景にこれを持ってきたかったんだけどなぁ。

湖面は8割方凍結しており、那須連山を借景としてなかなか冬らしい。真っ白い湖面にピーカンの青空、そして雪を頂く山々…本当に出来過ぎのような景観だな。




ちなみに Nikon D750 + 300mmレンズで茶臼岳をいっぱいにズームすると、ここからロープウェイの山頂駅、山麓駅の建物が識別できる。直線距離で20km以上あるはずだが気象条件が良いとちゃんとみえるのである。望遠倍率の高いカメラをお持ちの諸兄は是非ともお試しあれ。



 

■ さて運試しや如何に




さてせっかく来たのだからちょこっと休憩でも…と思いきや、早朝なので売店は営業しておらず。




松平定信公の整備したとされる日本庭園も営業時間外で入れない。こりゃ困ったな…早起きが三文の得になっていないぞ(笑)




そんな訳で、せめて南湖神社でおみくじくらいは引いてデビュー戦の足跡としておこう。さて新しい戦友(とも)と行くこれからの旅路は、果たして吉と出るか凶と出るか。




南湖神社のおみくじは、無人店舗式。よく野菜を売っているアレと同じ仕組みである。




ここは日本人にしか通用しない道徳観を前提にしている。一般向けおみくじは1枚 \200 となっているので代金を投入し、とりあえず1枚引いてみた。さて愛車の運勢や如何に。




おお大吉! 旅行は…吉日を選べと。今日は友引だから、まあデビュー戦としてはお日柄は良しということだな。結構、結構。




神社を出ると、散歩に来たらしいおっちゃんに 「新車かい、いいねぇ」 と声を掛けられた。助手席のビニールシートをまだ取っていなかったので分かったらしい。

ただ 「最近は黒が流行(はや)りなんだねぇ」 と言われてしまったのには苦笑した。




「いやその、これは一応カーキ色でして…」 と説明はしてみるのだが、これがカーキ色? 黒でしょ? …というあたりのごにょごにょなやりとりが、なんとも歯痒い。

うーむ。面倒だから、黒という認識を示した人には 「…はい黒です」 といっちゃったほうが良さそうな気がしてきたぞ…というか、果たしていいのかそれで(^^;)



 

■ 那須




その後は、流しモードで那須方面に折れてみた。せっかくの機会なので、普段はあまり足を延ばさないちふり湖方面をふらふらと彷徨ってみたのである。




白河が水田基調の平野だとすれば、那須はゆるやかな起伏の連続する牧草地やトウモロコシ畑が主体で、景観のテイストはかなり趣が異なっている。さすがに畑の中を爆走しようとは思わないけれど、こういうところを流しながら行くのはとても気分がいい。




まるで絵に描いたような白い世界。いいねぇ。




もう少し山側に行ってみようかと思ったけれど、白河でくっきり見えていた那須山塊は、西から流れてきた雪雲に覆われてしまった。雲はじわじわ迫ってくるようなので深追いは断念。まあ慣らしを兼ねたデビュー戦はこんなところにしておこう。




そんな訳で、除雪されていない路肩で記念撮影。あんまりにも写りが黒いので少々トーンカーブを引っ張りあげてみたけれど…結局黒い貴重なのは変わらないみたいだな(笑)




帰路、納車後の初給油をした。スタンドのおっちゃんは 「おう、新車かい、いいねぇ」 に続いて 「最近は黒が多いよねぇ」 とデジャブー感満載の言葉の暴力をニコニコしながら繰り出してくれた。

筆者 「いや、あの…その……………はい黒です orz」

嗚呼、悩ましき哉チタニウムカーキ…!
筆者はもしかしてあと10年、このコントみたいな色の説明をしなきゃならんのだろうか。 一応、ちょっとこだわったつもりで選んだ特別塗装色なんだけどなぁ…( ̄▽ ̄;)

<完>



 

■ あとがき


久方ぶりにクルマの写真をまじまじと撮ってみる…という経験をしました。新車のうちじゃないとなかなかこういう気分にはなりませんけれども、まあ忘れていた感覚を呼び覚ます良いきっかけだったかな…と思います。思えば13年ぶりですものねぇ…筆者にとっての新車って(^^;)




メカものというのはそれ自体が一定の機能美をもっていて、被写体としてはそこを強調するような撮り方をするのがセオリーなのですが、筆者はどちらかというとカタログ写真的な撮り方よりは風景の一部として溶け込んでいるような構図が好みです。クルマを撮るというよりはシチュエーションを残したいという気分が強いのだと思います。

そんなわけで、しばらくは意味もなくクルマを構図に取り入れた写真がポロポロとレポートに入るかと思いますが、ご容赦いただけますようお願い申し上げます(^^;) いや〜なかなかこれがまた、楽しいもので♪

<おしまい>