2014.10.03 日光:竜頭の滝の紅葉(その1)




竜頭の滝に行って参りました (´・ω・`)ノ



某NHKのニュースで 「竜頭の滝が見頃を迎えて云々…」 と言っていたので様子を見に行ってみた。この日は午前中に別の用事があり、それが済んでから午後にダッシュで行ってきので内容は薄いのだが(^^;)一応記事にはしておきたい。

※そういえば日光の紅葉の記事は書いたことがなかった気がする…(^^;)




竜頭の滝(龍頭の滝)は奥日光の戦場ヶ原と中禅寺湖を結ぶ水の回廊で、戦場ヶ原では湯川として流れてきた水流が一段下の中禅寺湖までの標高差100mあまりを長さ300mほどのナメ沢となって流れ下っているものだ。滝の直下で、全長がわずか1.5kmしかない渓流=地獄川と合流し、なぜか短い方の地獄川に吸収されて(^^;)、さらに600mあまりで中禅寺湖に注いでいる。

この戦場ヶ原からの段落ち部分=竜頭の滝は、奥日光の中でも特に紅葉が早いことで知られている。中禅寺湖畔の見頃とのタイムラグはおよそ2週間ほどあり、中禅寺湖〜竜頭の滝〜戦場ヶ原をセットとして捉えるとおよそ1ヵ月ちかくも 「どこかには必ず見頃がある」 という美味しい状況がつづく。今回はこの竜頭の滝をピンポイント的に眺めてみよう。




■ 奥日光への道




そんなわけで昼過ぎにゆるゆると出発して、途中はすっとばして一気呵成に高速道路で日光口まで進んでいく。




宇都宮ICから日光道路に入ると、気の早い木がぼちぼちフライング気味に色付き始めていた。…が、とりあえずこれはスルー(^^;)




そのままずんずん登って、那須塩原から1時間あまりでもう黒髪平に至る。




そこから見渡す風景はこんな感じで、まだ紅葉はほとんど立ち上がってきていない。この時点では日光東照宮付近は最低気温がまだ8℃を切っておらず、中禅寺湖畔の中宮祠もまだ5℃の水準よりは上にある。下界で見たフライング紅葉の木々はあくまでも少数派のようだ。




■ 奥日光市街地付近




やがて奥日光の市街地に入る。二荒山神社の大鳥居をくぐって中禅寺湖畔を抜けていく。




ここまで上がってくると 黄葉はそれなりに進展していた。赤が乗ってきているのは桜で、平地のソメイヨシノとは異なりここの桜は比較的鮮やかな赤を示している。楓も湖畔にあるものはいくらか色が乗っている。




紅葉チェッカーで湖畔にある二荒山神社中宮祉の状況をみると、黄葉の進展する8℃の水準は下回っているものの、5℃以下まで下がったのはわずか1日で、5〜8℃の微妙な温度水準をふらふらと推移している。楓の赤が本格的に立ち上がるには、少々早いレベルだ。




しかしそれでも湖畔の色付き具合はそこそこある。そういえば昨年の志賀高原も似たような傾向があった。水辺のごく近いところでは紅葉の色付きが妙によく進むのである。




そして道路が湖畔からちょっと離れると、色付きはあまりぱっとしなくなる。うーん…これって、どう解釈したら良いのだろう。



 

■ 竜頭の滝




そんなわけであっさりと竜頭の滝にやってきた。「竜」 と 「龍」 とどっちが正しいのか実に悩ましい限りなのだが、標識も二者並立となっていてこれまた実に悩ましい(笑)

※ちなみに江戸時代に書かれた日光山誌(日光山内のガイドブック:植田孟縉,1837,全五巻)などの古文書では "龍頭の滝" の表記が使われている。観光協会のパンフレットは新字体で "竜頭の滝" である。竜の字体は 竜→龍→竜 と変遷しているようで、書籍によっては 「竜は龍の略字である」 などともされている。なんともややこしいけれども、要するにどちらでも意味は同じで、間違いではない…ということらしい。




今回は300mあまりある滝のうち下流側の駐車場に入った。写真左側はすぐ崖になっていて、地獄川が流れている。




川沿いにある楓は非常に良い色合いに染まっていた。ふむ…、さすがは奥日光で最も早く色付く名所だけのことはあるな…(´・ω・`)




ここが特異的に早く色付く理由には諸説あって、明瞭な説明というのは筆者もいまだ聞いたことがない。よく言われるのは Wikipedia のコピペにあるような以下の4条件である。

@ 昼夜の寒暖差が大きい山間部である
A 平地ではなく斜面になっている
B 川沿いで水分が潤沢
C 空気が汚れていない

ただこれらが当てはまりそうな場所は奥日光ならそこらじゅうにあり、同時多発的な赤色の立ち上がりがあちこちで見られてもよさそうなものだが、しかしどうもそういう状況にはない。トップバッターはあくまでもこの竜頭の滝なのであり、一般的にいわれる@〜Cには含まれない、何かプラスアルファの条件があるのだろう。




それはともかく、ここは理屈はひとまず置いて、素直に景色を愉しんでみるか(^^;)




そんな訳ですぐ脇を流れる湯川沿いの遊歩道に入ってみる。おお…やはりイイカンジで色が乗っている。ちなみにここは、左側に湯川(竜頭の滝)、右側に細長い駐車場を挟んで地獄川という立地になる。2つの川の距離は50mくらいだろうか。水の音が風流な響きだ。



駐車場から30mほど入ると、滝の最下流部が見えた。ここから上流に向かって、小さな段々がいくつも重なりながら全体として "龍頭の滝" を形成している。華厳の滝のようにストレートに水が垂直落下するのではなく、階段みたいな状態で滑り落ちるタイプの滝だ。苔むした暗い岩地を背景に、木漏れ日の当たった紅葉の木々が美しい。




先日台風が直撃した割に、葉は健全そうにみえる。谷の底という立地のお蔭であまり風に当らずに済んだのかな。




そのままゆるゆると遊歩道を登っていく。ブナなどの黄色く染まる木々が混じって色の変化が面白い。…が、もうひとつ面白い傾向があることに筆者は気付いた。

どうも遊歩道の右と左で色の染まり方が違うのである。この写真は上流側に向かって撮っており、竜頭の滝(湯川)はすぐ左下を流れている。ほんの10mそこそこという距離感だが、どうやら川に近い方が色付きが早く進行しているように見えるのである。




特に楓の色の染まり方は、やや極端な感じがした。樹種によるものか気候の局所条件によるものかはわからないけれども、水辺ぎりぎりにある楓はじわじわと色が乗ったのではなく、なにかの拍子にいきなり真紅が立ち上がったようにみえる。




こちらはハゼの仲間かな。こちらも赤の立ち上がりは急激で派手なようだ。…うむむ。



 

■ 展望広場




やがて展望広場に出た。滝のほぼ中央付近にある見栄えのするエリアである。




おお〜、コレだよコレ♪ 竜頭の滝といえばこのアングルの写真でなければ(^^;)

夏に来れば涼しさ満点であろう景観である。一見すると水量が多いように見えるけれども、実はナメ沢で水深はほとんどない。水しぶきで濡れた周辺の岩盤は苔でびっしり覆われている。

※沢登り用語を御存じない方のために解説すると、ナメ沢とはナメ床とも言って、一枚岩の巨大な岩盤の表面をなめるように薄く水が流れる状態をいう。




そして水辺には鮮やかな紅葉の木々…。うーむ、これってもしかして、あたりを漂う微細な水煙によって気化熱による局所的な気温低下(→いわゆる打ち水効果)が出ているんじゃないだろうか。温度計でも持ってくればよかったな。




…さらに遊歩道を登っていく。川沿いの色付きのよい木々と、緑を保った木々はまるで人造人間キカイダー(古 ^^;)のようなコントラストで続いている。なかなかおもしろい景観だ。


<つづく>