2016.10.22 紅葉の田代山林道を行く(その2)




■ 湯西川水の郷




さて五十里湖から湯西川ダムを越えていくとやがて湯西川温泉に至る。平家落人伝説で有名なところだが、湯西川ダムの建設に伴ってr249の道路品質が大幅に改善し、かつての秘境のイメージは一新している。

本日の紅葉のみどころは、この湯西川温泉から先になる。ということで、まずはその戸端(とば)口にあたる "湯西川水の郷" で紅葉の様子を見てみることにしよう。




狭い旧温泉街と違ってここには広い駐車スペースがあり、大型観光バスも入りやすい。温泉、レストラン、売店の他、散策スペースも設けられており、ちょっとした小休止には良いところだ。




この付近は標高が700m前後あり、太平洋側気候が日本海側気候に移り変わっていくちょうど境界くらいに相当している。冬季には50cm〜1mくらいの積雪のあるところだ。

紅葉チェッカーでみると、湯西川付近は最低気温5℃未満の累積日数が9日、3℃未満が7日で、ちょうど見ごろに入ってきたかな・・・という状況になっている。




楓やドウダンの赤色の立ち上がりは良い感じだ。那須でも見られた緑色の消失がやや遅いような傾向がいくぶん見られるものの、「紅葉を見てきたよ!」 と友人知人に報告するには十分のように思える。




つり橋から眺める湯西川もそこそこいい感じに色づいていた。




赤一色という訳ではない、緑〜黄〜赤の織り成すグラデーション。一色塗りつぶしというのも悪くはないけれども、こういう多色刷りのような紅葉も捨てがたい。




そのまま橋を渡って散策路をいくらか歩いてみた。

周囲の人口密度はほとんどゼロ。川のせせらぎの音だけが静かに響いており、缶コーヒーを片手に佇(たたず)めば気分はもうすっかり隠者か落ち武者のようである。(落ち武者と缶コーヒーのイメージはミスマッチだろ・・・とかクリティカルにツッコんではいけない)




ところでなぜ人がいないのかと言えば、来訪客の方々はクルマから降りると周囲をぱっと見渡して 「紅葉してるね〜♪」 とつぶやくと、すぐに売店や足湯の方に行ってしまうからだ。

筆者は写真を撮る系の人なので "そっちより風景が先じゃないの" という感覚なのだが、どうやらそれは世の中の平均値からは微妙にズレているらしい(^^;) ・・・むむむ。




■ 湯西川温泉街〜平家の里




水の郷で一服した後は、温泉街を経由して進んでいく。




途中、温泉街のバス停の脇でひときわ赤色が美しい木があった。先ほど立ち寄った水の郷でも同じ樹種があったのだが、実はこれは桜なのだという。

そういえば都市部の公園に多いソメイヨシノなどと違って、ヤマザクラ系の紅葉は比較的色のノリが良いと言われるな。もしかするとそっち系の樹種になるのだろうか。あとで暇があったら調べてみたいところだが(^^;)




さて温泉街はクルマを停められる場所がないので、さわやかにスルー(ぉぃ ^^;)




そして定番のスポット、平家の里に到着した。今回はあまり時間に余裕がないので、民俗館の展示物はスルーして紅葉主体で速攻チェックしていこう。




ここに植えられている楓は紅葉の状況がバラバラで、色味が均一に揃っていない。園芸農家が育苗したものなら色づきのよい親木から同じ形質をものを増やしそうなものだけれど、そうでないところをみると地元の山で適当に若木を採取したもの・・・のように思える(^^;)




とはいえ早くから色づく個体と遅く色づく個体が混在しているのは悪いことではない。多少時期を外しても楽しめる、息の長い紅葉スポットになるからだ。

ちなみにこれ(↑)は雪の降り始める11月中旬の状況だが、数は少なくなるけれどもこの頃まで楓の紅葉は見ることができる。これはこれで風流である。




本日の状況は、ほぼ見頃のど真ん中の頃合いのようだった。黄色から赤色に遷移する途上の個体が多く、もちろん早熟な個体は真っ赤になっている。



こちらの木は緑色の消失と赤色の立ち上がりのタイムラグが大きいようで、黄色が鮮やかに出ていた。こういうのを庭木にすると風雅なワンポイントになりそうだ。




こちらはほぼ赤色が立ち上がった個体。枝の先端部は深紅に染まりつつある。まだまだ色は深くなっていきそうだ。



古民家の軒先と紅葉の組み合わせもなかなか渋くて良かった。近代住宅だと機能的になりすぎてこういう味はなかなか出ない。やはり適度に風雪にさらされて黒ずんだくらいのほうが、木々との馴染み具合が良くなるな。

・・・おっといけない、気が付けばメインディッシュである田代山林道に至る前に2ページも使ってしまったではないか(笑) 実のところ筆者はもう少しここでゆったり過ごしたのだが、レポートの筆はどんどん進めて行こう(^^;)


<つづく>