2014.09.27 那須:姥ヶ平の紅葉(その1)




今年も姥ヶ平に登って参りました〜 (´・ω・`)ノ



今年も紅葉の季節がやってきたので恒例の姥ヶ平詣でに出かけてみた。9月に入ってから低温基調が続いたため今年は色付きが早めに進行しており、どんな状況か見ておきたくなったのである。


那須:姥ヶ平ルートMAP

姥ヶ平の紅葉レポートは毎年書いているのでいまさら地理関係を説明するのも野暮な気がするのだが(^^;)、最近 「姥ヶ平 地図」 のキーワードで検索してくる方が増えているので全体像のわかるアングルで描きなおしてみた。図中で赤くなっているのがシーズン最初期(9月末〜10月初旬)に登山道から見渡せる主な紅葉エリアで、中でも姥ヶ平の付近は那須地域で最も早く色付くことで知られている。

ちなみに駐車場は自動車道路最奥部の峠の茶屋(徒歩で登る人向け)とロープウェイ山麓駅(文明の利器でショートカットする人向け)が主要なところで、混雑する場合は一段下側の大丸温泉、さらにもう一段下の那須ファミリースキー場駐車場が利用できる。

※…が、それでも混雑期の週末には長い車列が出来て渋滞が凄いことになる。遠方から訪れる方は平日に登った方が総合的な幸せ係数は高くなるような気がしないでもない(^^;)



 

■ まずは当日の状況から




さてまずは当日の気象状況から説明しておこう。この日は台風16号の成れの果ての温帯低気圧が本州上空を抜けた翌々日にあたり、次の台風17号のうずまきが接近しつつあるがまだ本州上空は比較的雲が少ない…という状況下にあった。文字で表現するとややこしそうだが、とりあえず日差しはあって、行楽日和としてはそこそこの条件である。




紅葉チェッカーでみる姥ヶ平の最低気温推移はこんな(↑)感じで、当日までの低温累積日数が 5℃未満=10日、4℃未満=7日、3℃未満=2日 であった。昨年までの傾向から見るともうあと1日くらい3℃未満の日が来てほしい気もするのだが、浮世の都合で筆者が自由に出かけられるのはこの日のみ。こういう時は、取り得る中で相対的に最善の選択肢を選ばねばならない。…つまり 「四の五の言わずにGO!」 である(笑)

ところで累積(積算)日数の棒グラフは今年から追加してみたもので、その導入の経緯を書くと長くなるので暇な方はこちらを参照して頂きたい。今回はこれで端緒条件の妥当具合を見てみたいという思惑も多少含んでいる。毎年すこしずつでも紅葉vs気温の知見が蓄積できれば、予測精度の向上にもつながっていくと思う。



 

■ 始まりはフライングアタックから♪




そんな訳で、筆者は全国の幼稚園児のよいこの諸君並みに早寝をし、午前二時前には自宅を出て深夜の那須街道を北上した。

なぜこんな時間に登るかというと、最近は車中泊組という強敵が出現しているため、単なる早起きアタックでは駐車場に滑り込むのも容易ではなくなってきたからだ。




…で、峠の茶屋駐車場に到達してみれば、やはり既に7〜8割が埋まっていた( ̄▽ ̄;) もしかして他の観光地でも最近はこんな状態になっているのだろうか?

人が多いおかげで公衆トイレの照明は常夜点灯になっていた。せっかく天の川が綺麗にみえているのに、星明りに露出を合わせるとこのトイレが燦然と光り輝いて写り、何だがネタ写真みたいになってしまった(^^;) …うーん、なんだかなぁw




アングルを変えて、こちらは白河の街明かりと星空。雲が多くてあまりスッキリとした絵にはなっていないけれども、快晴条件であればなかなかファンタジックな夜景が撮れそうだ。




さらに悪ノリしてISO感度を6400まで上げ、天頂方向を撮影。高感度ノイズでざらざらになってしまってはいるけれど、降るような星が写った。面白いものだねぇ。

※ちゃんと鏡筒をテープ止めしなかったので若干ピンボケになっているのはご愛嬌w




そんなこんなで時間をつぶしている間にやがて白々と夜が明けはじめた。

しかしここで急に雲が出てきて視界不良となり、世界は霧の中へ(^^;) …仕方がないので少々仮眠をとることにした。時間はたっぷりあるので慌てずに行こう。



 

■ 登山道へ




ようやく空模様がすっきりしたのはAM8時を過ぎてから。気が付けば既に渋滞の車列がノロノロと彷徨(さまよ)うカオスタイムとなっている。早朝組の人たちは深夜のうちに登り始めて8時頃にはもう降りてきていた。

この時間帯に降りてくるようでは、姥ヶ平では日の射さない暗い斜面を見ただけじゃないのか…などと思わないでもないけれど、遠方からやってきて過密スケジュールを走り回る層は、早朝に山を征服してさっさと下界に降り、昼間は買い物スポットをハシゴするのが "賢い" パターンとされているらしい。そんな修羅のような旅行が楽しいのか筆者にはよく分からないのだが(^^;)、一定数、そのような行楽客は存在している。

そういう早期下山組のクルマがポロリ、ポロリ、と脱出していくと、行列していたクルマがその抜けた隙間に入り込む。入れなかったクルマは駐車場外周部を回転寿司のように巡り続けるか、見切りをつけて下界に降りていくしかない。なにやら輪廻か解脱かで揺れ動く苦行僧の列を見ているようだ。




それはともかく筆者は早起きは三文(どころではない)得の故事に倣って、駐車場から園地を抜け、登山道方面に向かってみることにした。園地の標高は1466m、最低気温は5℃をようやく下回った程度だが、ちらほらと色付きのよい木はみえる。ただ全体としては、まだ紅葉はこれからといったところだろう。




ちなみに標高の近いロープウェイ山麓駅のデータを見ると(※)、色付きの進展する5℃のラインは下回っているものの累積日数は3日程度である。

※76mの段差があるので厳密にいえば園地はこれより0.5℃くらい下がるはず(^^;)




階段を上って登山指導センターに至ったところで、登山カードの記入を呼びかけるマッチョメンの集団が声を張り上げていた。最近は入山管理も厳しくなったようで、以前は 「ホントにここで活動している人がいるのか?」 という雰囲気だったのが様変わりしている。




筆者の目前にも、まるで地獄の門番のような形相のおっさんが立ちふさがり 「書いでいがねがぁ〜〜っ!」 と迫られてしまった。素直な紳士である筆者は抵抗の余地の無さ具合を悟り、とりあえず記入。…まあ、書かないよりは書いた方がいいのだろう。




指導センターを過ぎると、鳥居をくぐっていよいよ登山道である。




階段をのぼりながら奥の沢温泉の方面をチラ見すると、それなりにいい具合に染まっている木々がみえた。崖っぷちや斜面は色付きがよくなる法則というのがあるらしいけれど、あれがそうなのかな?




さて登山道周辺で色が早めに乗ってきているのは、ナナカマドであった。これは楓よりも少し早く色付いてくる。そういえば昨年草津白根山で見た紅葉も主役はナナカマドだったな。



しかし同じナナカマドでも色付きには個体差があり、全体としてはやはりこれからという感じがする。とりあえず、もう少し登ってみよう。



 

■ 中の茶屋跡から見る朝日岳




やがて森林限界を越えて、中の茶屋跡。ここはかつての硫黄鉱山時代に休憩所(茶屋)があったところだ。鉱山時代には峰の茶屋園地に宿泊所があり、80人あまりの鉱夫が詰めていた。そこから噴煙地帯である無間地獄(=硫黄採取鉱区)まで彼らは毎日徒歩で通っていて、現在観光客が歩いている登山道はその "通勤路" の跡地なのである。




ここからは朝日岳がよく見渡せる。朝日岳は茶臼岳よりも古い火山で、特に南面側の絶壁に展開する紅葉が見事である。崖面は高さが300mあまりあって、一面が真っ赤に染まる。本日は頂上から中腹あたりまでが色付いてきていて、色彩のピークはこれからだと思うがそこそこ楽しめる状態にはなっていた。




中腹部をアップにすると、赤色の乗ってきているところとまだ渋いところがまだら模様になっている。




ここが本当に鮮やかになるのは来週あたりかな。




朝日岳から連続する尾根筋の先にある鬼面山は、色付きは始まっているけれどもやはり見頃はこれからといったところだった。




一方、茶臼岳のほうは草紅葉が見事に色付いていた。




緑の絨毯のように見えるのはガンコウランという高山植物で、ここにちょこちょこと低木や草紅葉が混じるのが面白い。




こういう岩だらけの斜面に展開する紅葉こそが、那須らしい風景といえるかもしれない。


<つづく>